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ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
アントニオ猪木が生前に明かした「後継者」の名前…佐山聡はなぜ人気絶頂で“虎のマスク”を脱いだのか?「タイガーマスクは猪木イズムの結晶」
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by東京スポーツ新聞社
posted2023/08/12 11:01
WWFジュニアヘビー級王座の初防衛に成功し、アントニオから祝福されるタイガーマスク(1982年1月28日)
生前の猪木が明かした「たったひとりの後継者」
昨年6月、筆者はアントニオ猪木が亡くなる3カ月前にインタビューをさせてもらった。その際、「自分の後継者を誰にするか、考えたことはありますか?」と尋ねると、猪木はこう答えている。
「ある意味では、タイガーマスク(佐山聡)がそういう存在になってくれるんじゃないかなと、期待した部分はありましたよ。ちょうどプロレスが変わっていく時期に出てきましたからね。彼のプロレスはとにかく誰が見てもおもしろい。(中略)ただ、急にスターになっていろんな人が絡んで彼も成長したのか、早くに巣立ってしまいましたけどね」
多くの才能を輩出した新日本プロレスで、猪木が後継者に考えたのは後にも先にもただひとり、佐山聡だった。猪木の死後、佐山にこの言葉を伝えると絶句し、ただただ大粒の涙を流した。
佐山は「タイガーマスクとは、新日本プロレスの叡智、猪木イズムの結晶です」と語っている。格闘家としての実力と、大衆を魅了するエンターテインメント性を兼ね備えた、アントニオ猪木の新日本プロレスが生んだ最高傑作である初代タイガーマスク。その輝きは、あれから40年経ってもまったく色褪せてはいない。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。