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「オレは相撲界を離れるんだ」19歳の怪物・伯桜鵬には相撲を“やめた”ライバルがいた…異色の元アマ横綱「NFL挑戦」花田秀虎が語る、伯桜鵬との関係
posted2023/08/13 17:03
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph by
JIJI PRESS
豊昇龍が初優勝し、大関昇進を決めた大相撲名古屋場所。この場所で、19歳の新入幕力士として土俵に上がり、「109年ぶりの新入幕力士優勝なるか」と話題を集めたのが(落合改め)伯桜鵬だった。千秋楽、3敗で並んでいた豊昇龍に賜杯は奪われたものの、11勝の好成績で三賞をW受賞する。伯桜鵬の活躍を寿ぐためか、所属する宮城野部屋の千秋楽打上げパーティは、いつにも増してにぎわいを見せていた。
伯桜鵬が笑顔になった瞬間
人いきれのなか、優勝賜杯を逃した悔しさを隠しきれずか、どこか笑顔も固い伯桜鵬の姿があった。それでも、戦いを終えたばかりの青年が、ふと顔を綻ばせた瞬間がある。その視線の先には意外な人物の姿が――。
NFL選手を目指し、挑んでいる花田秀虎だ。2020年、日体大1年時にアマチュア横綱に輝いた花田。1984年、のちの久島海(日大)以来、実に36年ぶり2人目の「1年生アマチュア横綱」となる快挙だった。大相撲の世界に進むことを期待され、その将来を嘱望されていた花田だったが、中学時代から興味を持っていたアメフトの道に進むことを決意。日体大を休学し、この8月からNCAA1部(全米大学体育協会)所属のコロラド州立大学に編入を決めた。
和歌山県立和歌山商業高校出身の花田と、鳥取県の相撲の強豪高校、鳥取城北高校出身の伯桜鵬。ふたりの出会いは高校時代のことだという。2学年の差があるものの、妙にウマが合い、「ライバルであり、親友。尊敬し合う仲です」と互いを評す。
渡米前日。連日の送別会が続き、「声が酒ヤケしてしまっていて、スミマセン(笑)」。いささかハスキーな声で、花田秀虎は盟友の伯桜鵬にエールを送り、アメリカに旅立って行った(※以下、花田に伯桜鵬について語ってもらった)。
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「トラさん、どんな食事をしているんですか?」
テツ――僕は伯桜鵬(本名・落合哲也)をこう呼んでいます。向こうは僕を”トラさん”と呼ぶんですよ(笑)。僕が高校3年、テツが1年の頃に、彼が頭角を現して来ていたんですね。各全国大会の表彰式で顔を合わすようになりました。僕は、フレンドリーではないというか、他の選手とはあまりしゃべらず、孤高なタイプなんです。でも、テツは、「どんなトレーニングをしているんですか?」「どんな食事をしているんですか?」と話し掛けてきて、いろいろ訊いてくる。話してみるうちに、「ふたりの価値観が似ているな」と思うようになりました。お互いにどんどん興味を持つようになり、あれこれと情報交換をする仲になったんです。