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プロ野球“じつは育成選手を飼い殺している”問題「まだ8月なのに一軍の可能性ゼロ」「昇格率“わずか2%”の球団も…」あまりに厳しい待遇と現実 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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posted2023/08/06 11:03

プロ野球“じつは育成選手を飼い殺している”問題「まだ8月なのに一軍の可能性ゼロ」「昇格率“わずか2%”の球団も…」あまりに厳しい待遇と現実<Number Web> photograph by JIJI PRESS

今年4月に行われたソフトバンク四軍の本拠地開幕戦セレモニーの様子

 7月末の登録期限時点で“いい線”まで来ていた選手はいたものの、飛びぬけた成績を残したものはいなかった。モチベーションは人の成長を大きく左右する。せっかく四軍制を導入してハード面は充実したものの、ソフト面が上手く回っていないのではないか。そう感じずにはいられなかった。

 このような問題はソフトバンクに限らず、どの球団でも起こり得る。

 球界全体で解決策を見出すべきだが、選手会とNPBの事務折衝の中で育成選手の待遇改善について議論される機会は多くないという。それは育成選手が選手会に属していないからだ。

“飼い殺し”を防ぐ…筆者の提案

 ならば、勝手ながら次のような策を提案したい。

――規定により今オフに自由契約となることが決まっている育成選手については8月1日以降、支配下契約での獲得に限り移籍の自由を認める――

 現在、育成ドラフトで入団した選手は3年間がひとつの区切りとされる。入団後3シーズン連続して育成選手として在籍した者が、所属球団から翌年度の支配下選手として契約を締結されない場合は自動的に自由契約選手となるためだ。

 また、支配下選手登録されたことのある者が育成選手として契約した次年度に支配下選手として契約されない場合も同様に自由契約となる。

 その後の育成再契約も認められてはいるものの、ルールに基づけば<今オフに自由契約になることが決まっている><今季中の支配下登録が叶わない>という、いわば“飼い殺し”の育成選手が一定数存在するわけだ。

「今季一軍が消えた」選手たち〈セ・リーグ〉

 たとえば、今季ならば次の選手たちがそれに該当する(成績は支配下登録期限だった7月31日時点)。

<DeNA>

●勝又温史外野手(23歳)5年目、18年ドラフト4位
 イースタン成績・66試合、打率.291、5本塁打、26打点
【評価】投手として入団も21年シーズン後に野手転向。高い身体能力が魅力。

<巨人>

●山崎友輔投手(25歳)3年目、20年育成ドラフト10位
 イースタン成績・17試合3勝0敗、防御率1.90
【評価】鋭いスライダーが武器。

<ヤクルト>

●近藤弘樹投手(28歳)6年目、17年ドラフト1位で楽天入団
 イースタン成績・6試合0勝0敗、防御率0.00
【評価】21年に一軍22試合で防御率0.96。右肩故障で育成契約も、今年6月末からマウンドに上がっている。

●松井聖捕手(28歳)3年目、20年育成ドラフト3位
 イースタン成績・58試合、打率.292、3本、26点
【評価】打力に定評がある捕手。

【次ページ】 「今季一軍が消えた」選手たち〈パ・リーグ〉

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