濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
親にも隠した“突然のがん宣告”…山本KIDに憧れたプロレスラー・フジタ“Jr”ハヤト、万感の2冠獲得「毎回、これが最後かもしれないと思って」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byGLEAT
posted2023/08/04 11:06
5年に及ぶ欠場期間を経てリング復帰を果たしたフジタ“Jr”ハヤト
「毎回、これが最後かもしれないと思って」
フィニッシュはKIDから教わったフロントネックロック。技の名前は「K.I.D」(ケーアイディー)という。8月4日のGLEAT両国国技館大会では、飯塚優と組んで鈴木みのる&青木真也と対戦することになった。どちらとも初対決であり、どちらもファンとして見てきた選手だ。
「青木選手もPRIDEの頃から見てますから。僕は立場としてはチャンピオンですけど、気持ちはチャレンジャー。勝ち負け以上に、何かインパクトを残したい。“コイツ他のプロレスラーより寝技できるな”でも“打撃強いから寝技でいくか”でもいい。“今度は組んでみたい”とか“シングルでやろう”でも。青木さんにも鈴木さんにもお客さんにも、何かインパクトを残して終わりたいですね。もちろん真っ向勝負です。相手の土俵で挑みたい」
とにかく今は自分が好きなプロレスを楽しみたいという。その楽しんでいる姿をファンに楽しんでほしいと。
「今の自分は、いつプロレスができなくなるか分からないので。毎回、これが最後かもしれないと思ってます。だからまず自分が楽しませてもらってます」
ハヤトがプロレスをやり続ける理由
ただ、自分のためにプロレスをしているというだけでもない。ハヤトは入場曲のイントロに、KIDが使った「I Believe」を挿入している。
「KIDさんの曲を僕が使っている形ですけど、僕が活躍することで“ハヤトの曲って……”となってKIDさんのことを思い出してくれると嬉しいですね。僕がリングに上がることで、親父もリハビリ頑張ってくれるといいな、とも思ってます」
10月15日には、みちのくプロレスの30周年記念大会で新日本プロレスの高橋ヒロムと対戦する。殴って蹴って腕を極めて首を絞める、ハヤトのシンプルなファイトスタイルは対戦相手が強敵であればあるほど熱を帯びていく。
「悔いなく試合をしようと思ったら、勝手に激しい試合になっちゃうんですよ(笑)」
いつまでできるか分からないプロレス。だからこそ、何度でも見たい。
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