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「オレ、野球は得意じゃないから」いま思う新庄剛志“初めて本音を聞いた”メジャー時代…なぜ日本人初ワールドシリーズ出場を果たせたか? 

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水次祥子

水次祥子Shoko Mizutsugi

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posted2023/08/01 11:01

「オレ、野球は得意じゃないから」いま思う新庄剛志“初めて本音を聞いた”メジャー時代…なぜ日本人初ワールドシリーズ出場を果たせたか?<Number Web> photograph by Getty Images

メジャー時代の新庄剛志。アメリカで3シーズンにわたりプレーした

ワールドシリーズに出場するまで

 レギュラーシーズンを終えたとき、118試合の出場で打率2割3分8厘と前年より3分落ち、9本塁打、37打点。それでもチームは95勝66敗でワイルドカードでポストシーズンに進出し「この場にいても、心から喜べないのが正直な気持ち」と複雑な心境を吐露していた。ポストシーズンの第1ラウンドであるブレーブスとの地区シリーズでは出場選手登録から外れ、第2ラウンドのリーグ優勝決定シリーズでは出場登録されたが、第4戦の7回にようやく右翼守備から途中出場し、打席はその裏に回ってきた1度だけで、それも内野ゴロにあっけなく倒れた。

 それでもワールドシリーズで出番はやってきた。日本人選手が所属するチームがワールドシリーズに進出したのは98、99年に伊良部秀輝が所属したヤンキースがあったが試合には出場しておらず、新庄が日本人選手初出場となった。

 出番は少なかったものの、いざポストシーズンで出場機会が巡ってくれば気合を入れていた。大舞台になればなるほど気持ちが乗るタイプ。リーグ優勝決定シリーズ第4戦で途中出場したときは「あの場面で出て、自然に笑いが出てくるくらいワクワクという気持ちが強かった。あ、出番だなと」と胸中を明かしていたほどだった。

 エンゼルスとのワールドシリーズでは、第1戦でいきなり20日ぶりとなるスタメン出場。しかし得意の守備機会はなく「9番DH」で打線に名を連ねる驚きの起用だった。

「日本人初とか、自分はリラックスできる」

 敵地アナハイムで行われた第1戦の3回、ワールドシリーズの日本人初打席は空振り三振。だが5回先頭の第2打席で中前打を放ち、日本人シリーズ初安打を記録した。得点には絡まなかったが3打数1安打で、チームは4対3の1点差で初戦を制した。試合後の新庄は、こう振り返っている。

「日本人初とか、こういう舞台になると自分はリラックスできる。楽しみに打席に向かいました。1球目を見た時、めちゃくちゃ速くて、ポイントをすごく前にしないと当たらないなと、2打席目にポイントを前にして、めちゃくちゃ詰まってたけど、いいところに飛んでくれました。守備はしたかったね。それなりの事情がジャイアンツにもあるだろうし、守備があってのオレだからね。打つだけで試合に出るのは変な感じ。理由は言えない。2年目の若造なんで。上の選手が優先だから」

【次ページ】 「出番はオレじゃないだろうと…」

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