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大谷翔平“トレード消えた”本当の意味「あのケチなオーナーが…」「FA移籍すればすべて裏目に」それはエンゼルス史上最大の“博打”だった
posted2023/08/02 06:00
text by
水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph by
Getty Images
エンゼルスのアート・モレノ・オーナーは、とてつもなくリスキーな大博打に打って出たようだ。
大谷翔平の放出を封印したトレード市場で「買い手」に回ったのだ。
トレードで破格の獲得攻勢
8月1日(日本時間2日)のトレード期限までに果たして大谷を放出するのか否か、米球界関係者が固唾を飲んで見守っていたが、期限の6日前にトレードしないことが決まったと米有力記者からのスクープが飛び出した。そして数時間後にはその情報を裏付けるようにエンゼルスがトレードで投手2人を獲得。大谷を放出し「売り手」に回るのではなく、真逆の方向に舵を切った。その翌日、ペリー・ミナシアンGMは「この夏にショウヘイをトレードすることはない」と明言。今季終了後にFAとなる大谷を今季いっぱいキープし来季以降も引き留めようという球団の方針が、これで明確となった。
買い手に回ったエンゼルスがホワイトソックスからトレードで獲得したのは、ローテ投手として実績のある右腕ルーカス・ジオリトと、速球が平均98マイル(約158キロ)とメジャーのリリーフ投手の中でもトップクラスの球速を誇る右腕レイナルド・ロペスだった。一方エンゼルスからは20歳のエドガー・クエロ捕手と23歳の左腕カイ・ブッシュというマイナーの有望株2人が放出されている。さらにその4日後には、ロッキーズから通算183本塁打のランダル・グリチェク外野手と通算186本塁打のC・J・クローン内野手を、20歳の左腕メーソン・オルブライト、21歳の右腕ジェーク・マデンという有望株2人との交換トレードで獲得した。
ジオリトの今季年俸は1040万ドル、ロペスは362万5000ドルとなっており、米データサイト「ファングラフス」によると、この2人が加わったことで今季のエンゼルスの総年俸は2億3400万ドルを上回り、今季のぜいたく税回避の上限となる2億3300万ドルを超えた。