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「じつは投げにくいフォームで投げている」DeNA新守護神・森原康平が語る、抑えるための”100%の準備”「『楽をして投げるなよ』と言い聞かせています」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySankei Shimbun
posted2023/07/31 11:04
7月27日、移籍後初セーブを挙げた森原。新守護神にリリーフとしての心持ちを聞いた
「なにより僕の一番の励みになっているのは、トレードでこのチームに呼んでもらったというか、三浦(大輔)監督やコーチの方々から期待されているのを感じるんです。それがすごく、うれしい。僕としても、もっと頑張ろうって思えるし、それが大きなモチベーションになっているのは間違いないですね」
選手はやっぱり求められてナンボですね、と返すと、森原は「ええ」と笑顔を見せ頷いた。
「いろんな場面で投げさせてもらっていますけど、やっぱり同点だったら1点もやれないし、1点勝っていたら追いつかれたくない。そういうシチュエーションを任されるのは本当にありがたいことだなって」
準備100%
今季の森原は、ここまで25試合を投げて防御率2.78(7月31日現在)。12試合連続無失点を記録するなど、チームの勝利に大きく貢献をしている。僅差のビハインドや同点の場面、勝ち試合に加えヒリヒリするような火消しの状況、そして試合を締めくくるクローザー。ピンチのときでもマウンド上では泰然自若とし、よく見るとうっすら笑みを浮かべていることもある。タフとおぼしき環境下、果たして森原はメンタルの部分で、どのように自分と向き合っているのだろうか。
「僕は“準備100%”だと思っているんですよ。体は日々変わっていくし、決まったルーティンがあるわけではないので、その日に合ったことを探りながらできるかぎりの準備をしています。例えば今年からは試合前のランニングを増やしたり、疲れが溜まっているなと思ったら水風呂に浸かったり。とにかくベストな準備ができさえすれば、あとはマウンドに上がるだけです」
一点の曇りもない状況でマウンドに上がれれば、自分を信じて腕を振るだけだ。
「マウンドではなるべくリラックス。プレッシャーはもちろん掛かるけど、僕の場合は、緊張しすぎて力んでしまうと、体が動かなくなってしまうんです。ほどよい緊張感の中、楽しみながら投げること。そのバランスがすごく大事なのかなって」
ヒリヒリとした状況で仕事ができるのは今だけ
プロ7年目、失敗や故障、移籍などあらゆる経験をしてきたからこその処世術。最高の準備をして、置かれた環境を存分に楽しむだけだ。