「リリーフっていうのは目立たないのが一番いいと思うんですよ。3つのアウトをしれっと取って、淡々と仕事を終わらすのが最高だと思うんです。与えられた場所で、こいついつもいい仕事をしているな、いい仕事してくれそうだなってイメージが付くように、そういった意味を込めています」

森原の人生観、野球観

　森原と話していると、普通のプロ野球選手とは違うなと思うところがある。熱さは内包しているものの、野球を冷静に仕事と捉え、人生の一部として広い視野で俯瞰しているように感じられる。自分のペースで人生を楽しみながら、今は野球選手として懸命にサバイブしている、そんな印象なのだ。

　首脳陣から期待をされれば、それを意気に感じ応えることがモチベーションだと語っていたが、もっと大局的な意味においてプロ野球選手として生きることを森原はどのように感じているのだろうか。

「うーん、深いですねえ」と言うと、しばし考えを巡らせ、答えた。

「プロ野球選手の最大のメリットって、メディアなどを通し、遠く離れた故郷（広島県福山市）に自分の情報が届くことだと思うんです。活躍できれば、親や祖父母、友だちが自分が頑張っていることを知り、喜んでくれる。たまに同級生から『オマエの活躍は刺激になるよ。オレももっと仕事頑張るよ』みたいなメッセージが届くんですけど、それを見たときが一番うれしいんですよね。だからもっと頑張ろうって」

　どんな大きな舞台で仕事をしようが、本当の幸せは、自分の心の半径数メートルにあるものだ。結果、その活躍したときの喜びは、チームやファンに波紋のように広がっていく。だからこそ最高の準備をして、新たに与えられた仕事場である9回のマウンドに上がり、森原は今日も目いっぱい腕を振る――。

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