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「じつは投げにくいフォームで投げている」DeNA新守護神・森原康平が語る、抑えるための”100%の準備”「『楽をして投げるなよ』と言い聞かせています」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySankei Shimbun
posted2023/07/31 11:04
7月27日、移籍後初セーブを挙げた森原。新守護神にリリーフとしての心持ちを聞いた
「正直、ボールの質そのものは普通だと思うんですよ。ただ僕はボールの質だけじゃなく総合力で勝負しているというか、じつは投げにくいフォームで投げているんですよ。クイックを使ったりするのもそうなんですけど、とにかく投げるときに自分に『楽をして投げるなよ』と言い聞かせながらピッチングしています。本当はもっと楽に投げたいんですけどねえ」
そう言うと森原は苦笑したが、あえて窮屈フォームで投げているとは……。このあたりにプロとしての生きる術を感じずにはいられなかった。
過去に何度もクローザーに挑戦
今季は、5月4日の広島戦(横浜スタジアム)で移籍後初となる勝利投手となり、そして7月27日の中日戦(バンテリンドーム)ではDeNAで初セーブを挙げた。
守護神の山﨑康晃の不調による森原の抜擢。楽天時代にクローザーを務めた経験値が生かされた。ただ誰よりもセーブを挙げることの難しさを森原は認識している。クローザー初挑戦となった2018年は、2試合連続で黒星を喫し、2度目の挑戦となった2020年は4セーブを挙げたが、その後、不振に襲われ守護神の座を守り切れなかった。
「いわゆる7回、8回を投げるセットアッパーとクローザーは違うと思います。繋ぎじゃなくて締めですからね。抑えて当たり前の場面で最後ひっくり返されたら、チームも自分もショックがでかい。だから精神的な部分が一番重要なんじゃないかと思います」
森原は正直に吐露したが、前述したようにもう過去は振り返らず、前を見るのみ。最高の準備という人事を尽くせば、あとは天命を待つのみだ。経験はすべてプラスになる。
「まあ、難しいんですけど、行くとなれば僕の場合は難しく考えない方がいいのかなと」
そう言うと森原は笑った。そこにはどこか潔い、腹をくくった様子が見られた。
森原が掲げる「仕事人」の意味
「野球ってどこか運の要素も強いスポーツだと思いますし、正直どう結果が出るかわからない部分もあるんですけど、マウンドに上がるにあたって、毎日100%の準備をすることだけは約束します」
そういえば今年のキャンプ前、個人的なスローガンを掲げる際、森原は『仕事人』という言葉を使っている。この言葉に秘めた思いとは何だろうか。