「勝利の記念撮影」は羽生先生とともに歩んできた

「『勝利の記念撮影』は羽生先生とともに歩んできたという側面があるのだと思います。いろいろな撮影の構図を断らずやってくれて、我々から見ると〈今回はどんな感じで来るんだろうなあ？〉と期待してくださっているように感じています。我々のやっていただきたいポーズに対しても、どんなポーズを取ればいいかなどを理解していただいています」

　高橋部長は「長年の……ですね」と語っていたが、まさに毎年のようにコミュニケーションを取って作り上げてきたからこそ、信頼関係が構築されていったのだろう。

　そんな高橋部長が「これ、世の中に出したらさすがにお叱りを受けるんじゃなかろうか」と胸が破裂しそうになった1枚があったのだという。

世間を騒がせた大胆な一枚

　今期の羽生の「勝者の記念撮影」で最も話題になった、第4局一夜明けでの「寝起きウサ耳ヘアバンド装着グラビア風」である。筆者を含めた全将棋ファンが文字通りひっくり返った写真は、ネット上で瞬く間に拡散。「羽生先生かわいすぎだろ」「これはけしからん」などの歓喜の声とともに、羽生の〈私の年齢で意味あるんですか？ もう50代なんですけど……〉というコメント記事に“キュン死”する人々が続出した。SNS上で反応したのは、将棋ファンはもちろん「将棋と言えば藤井くんと羽生さん」といったライトな人々も、その大胆な写真に目を奪われたのは間違いない。

生活感と意外性が同居した一枚は棋界のみならず世間に衝撃を与えた　©SPORTS NIPPON

いい意味で緊張感を与えない方

　このバズった写真、発想のスタート地点にいたのは女性フォトグラファーの藤山由理さんだった。藤山さんは将棋に詳しいわけではない。だからこそ「凄い将棋の先生であることは大前提で理解した上で」羽生に対する印象は、以下のようなものだった。

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