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現役時代の魁皇は“横綱に推す声”をどう受け止めていた?「貴乃花のときもそうでしたが…」優勝5回、“横綱にもっとも近づいた名大関”の告白
text by
飯塚さきSaki Iizuka
photograph byShigeki Yamamoto
posted2023/07/08 11:22
元大関・魁皇の浅香山親方のロングインタビュー最終回。幕内最高優勝5回の名大関に、横綱昇進が叶わなかった当時の心境を聞いた
「若い力士には『酒はほどほどに』と言いたい(笑)」
――楽しみですね。では、協会を運営するおひとりとして、角界全体の“課題”はどこにあると感じていますか。
いま一番思うところは、少子化の世の中で「力士になりたい子をいかに増やすか」ということ。とにかく絶対数が減っているので、繰り返しになりますけども、子どもたちに「お相撲さんってカッコいいな」と思ってもらえるような強い力士、魅力的な力士を育てていかないといけない。もちろん弟子を育てながら、もっといろんなところに足を運んで、相撲を普及させる環境を作っていくことも大事ですよね。これからも、多方面で努力をしないといけないなと思っています。
――相撲界の発展のために、親方が大切にされている考えがあればぜひ教えてください。
いまはコンプライアンスの時代ですが、相撲部屋である以上、“強くするための厳しさ”は必要です。もちろん、それで嫌われることもあるかもしれない。ただし、かつて自分がされてイヤだったこと、理不尽なことをさせるのは絶対にダメ。たとえば、部屋の食事が質素なのはつらかったですし、いまの子たちにそういう思いはさせたくない。そもそも、強くなるためにはしっかり食べるべき。だから料理ひとつとっても、「失敗してもいいからなんでも作ってみなさい」と言います。チャレンジして失敗してもみんなで我慢して食べればいいし、作っていくうちにだんだん上手になっていきますから。
あと、「どの口が言うんだ」と思われるかもしれませんが、若い力士たちには「酒はほどほどにしておけ」と言いたい(笑)。そうやって“反面教師”として自分の経験を若い世代に伝えるのも、ひとつの役割なのかもしれませんね。
<#1、#2から続く>
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