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番記者は見た! 大谷翔平の忘れられない一球「アァ!」と雄叫びを挙げて投じたメジャー自己最速…投手・大谷はいったい何が変わったのか? 

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柳原直之(スポーツニッポン)

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara

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photograph byNanae Suzuki

posted2023/07/06 17:01

番記者は見た! 大谷翔平の忘れられない一球「アァ!」と雄叫びを挙げて投じたメジャー自己最速…投手・大谷はいったい何が変わったのか?<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

今季は投手としても7勝4敗、防御率3.32、奪三振132という成績を残している大谷翔平(7月6日現在)

 今後、大谷が自己最速を更新する球種がフォーシームではない可能性もある。'22年8月15日のマリナーズ戦から投げ始めた、右打者の内角に食い込む新球ツーシーム(MLB公式サイトの表記はシンカー)について、大谷はフォーシームより「自然に速くなる」と語っている。ツーシームはひとさし指、中指の両方をしっかり縫い目にかけて投げるため、よりスピンが利く。実際に同年9月3日のアストロズ戦で、ツーシームがフォーシームよりも速い100.6マイル(約161.9km)を計測。一方で横方向に最大21インチ(約53.3cm)も変化。この年の自己最多15勝、自身初の規定投球回到達への原動力となった。

 今季はこのツーシームの配分を抑えているが、あえて後半戦に残しているのであれば恐ろしい。

【変化球】試合によって球種割合を変えるスタイルに

 今や打者としての評価が上回ったかもしれないが、メジャーは当初「投手・大谷」の方を高く評価していた。今でも鮮明に思い出す。ルーキーイヤーの'18年4月8日の本拠地でのアスレチックス戦。7回1安打無失点、12奪三振。あの時、大谷はメジャーの強打者たちをねじ伏せ、本拠地は興奮のるつぼと化した。同戦では全91球を投げ、フォーシーム42球(46%)、スプリット33球(36%)。今季からMLB公式サイトで「スイーパー」と表記される曲がりの大きいスライダーはわずか13球(14%)だった。フォーシームで追い込み、スプリットで三振を奪う。日本ハム時代からの必殺コンビネーションが当時最大の武器だった。

 右肘のトミー・ジョン手術からの本格復帰1年目となった'21年から、大谷の投球スタイルは徐々に変化が目立つようになる。同年序盤こそ決め球をスプリット中心とする配球で好調を維持したが、6月30日のヤンキース戦で2/3回を2安打5四死球、メジャー自己ワースト7失点でKO。後に大谷はこの試合を「ターニングポイント」と語り、以降はカットボールを主体に打たせて取る投球で躍進。9月19日のアスレチックス戦では、スプリットを過去最多の全投球中51%を占める55球投じるなど、試合によって球種割合を大きく変えるケースが目立つようになったのもこの頃からだった。

【続きを読む】雑誌ナンバーの記事がすべて読めるサブスク「NumberPREMIER」内の「自己ワースト7失点がターニングポイント」大谷翔平のピッチング進化論2018-2023<取材10年目の番記者が徹底分析>で、こちらの記事の全文をお読みいただけます。

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