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渋野日向子、笹生優花、古江彩佳ら“ゴルフ界史上最多の22名”が挑戦…全米女子オープン「なぜ日本人が多い?」5つの理由〈米記者の優勝予想も〉
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2023/07/05 11:03
男女通して海外メジャー1大会の最多記録を更新する「22名」がエントリーした今年の全米女子オープン。日本勢の優勝争いに期待したい
さらに、今大会で日本人選手が最も出場資格を得た条件に「女子世界ランキング上位75名(5月3日付)」がある。出場資格を得た13名のうち、国内ツアーを主戦場とする選手は6名。これは、2022年8月8日から世界ランキングのポイントシステムが一部改正となったことが追い風となっている。
世界ランキングは、各ツアーや大会のレベルに応じて選手にポイントが与えられ順位が決定するもの。今回の改正によって、大会レベルの目安となるSOF(Strength of the field)ポイントが、従来は400位までだったが、600位までの選手に0.25ポイントが付与されることになった。そこに該当する日本人選手が多いため、国内ツアーでの成績が以前よりも世界ランキングのポイントに反映されやすくなった。
顕著な例が、今季国内ツアーで4勝を挙げる好調の山下美夢有だ。6月19日付の世界ランキングでは日本勢最上位となる17位に上がった(7月3日更新時点では古江に次ぐ19位)。国内ツアーでの活躍がよりポイントに加算されるようになったことで、世界への道が開いた選手も少なからずいる。
整備された海外メジャー挑戦の土壌
世界ランキングの一部改正に加えて、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)も海外挑戦を後押しする。
2022年シーズンから国内ツアーの出場権の“基準”を、賞金ランキングから「メルセデス・ランキング」に一本化した。海外メジャーの結果が国内ツアーの出場権に影響されるようになったことで、これまで日本でのプレーに専念していた選手たちも「海外メジャーへの挑戦」を選択しやすくなった。また、海外メジャー競技のポイントは国内の3日間競技の4倍にあたるため、そこで結果を出せば、メルセデス・ランキングも大幅に上がる可能性もある。国内ツアーの日程と重複する海外主要トーナメント以外への出場も、年間1試合から2試合に緩和したことで海を渡る土壌が整備され始めている。
さらに、前述した2014年から開催される日本地区最終予選会の存在意義も見逃せない。36ホールのストロークプレー形式で、上位5選手に出場権が与えられる予選会には毎年のように多くの選手が挑戦し、今年は116名(プロ76名、アマチュア40名)だった。門戸が開かれた環境の中で生まれた競争意識が「過去最多の出場者数」につながったのかもしれない。