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プロ野球チームに重要な株主総会までの戦い方…阪神「岡田さんを招聘していただき御礼申し上げます」西武「食事が不味くなる」
posted2023/07/02 11:03
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
Kiichi Matsumoto
6月が終わりましたが、この時期のニュースで注目してしまうのが「株主総会」です。プロ野球の球団を持つ企業の株主総会で、チームにひと言物申す株主の発言が報じられる。これがなんとも味わいがあるのです。
たとえば過去の阪急阪神ホールディングス(HD)株主総会を見てみよう。そう、阪神タイガースに対する株主の「ご意見」である。
『株主が阪神和田監督にクビ宣言』(デイリースポーツ2014年6月13日)
今から9年前。当時の和田豊監督に、男性の株主が「このままいけば続投はない。クビ」と指摘。球団社長が「まだシーズン中なので回答は控えたい」と答えて、この問答は話題になった。
翌2015年も和田監督だったが、6月16日におこなわれた株主総会では「今年創設80周年なのに全然ダメですね。お客さんも入っていない。来季は岡田さんを監督にしたらどうか?」などの質問が出た。ここでいう岡田さんとはもちろん岡田彰布氏のこと。
私は当時「こんなところで名前を出されて岡田さんソワソワしちゃうだろうな」と思ったが、このときの株主の“ご意見”は今年実現したことになる。
阪神好調ゆえの穏やかな株主総会
では今年の阪急阪神HD株主総会はどうだったか?
『阪急阪神HD株主総会 セ首位の今年は厳しい質問なく、SNSでは「タイガースのファンミーティング」との声も』(サンスポ6月16日)
この時点で阪神がセ・リーグ首位をキープしていたこともあってか平穏だった。それどころか最初の質問を行った株主からは、
「まずは冒頭に阪神タイガースの監督に岡田さんを招聘していただき、心より御礼申し上げます」
議長を務めた角和夫会長に対して謝辞を述べる株主がいたほどなのである。平穏!