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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「自分の血を見て興奮しちゃったんですかね(笑)」中谷潤人25歳が明かす“ラスベガス衝撃のKO” モロニーを沈めた一撃は「想定通りだった?」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byAFP=JIJI PRESS
posted2023/07/02 17:00
ラスベガスで衝撃のKO劇を見せた”ネクストモンスター”中谷潤人(25歳)
中谷 相手のプレッシャーが一層強くなってきて、ああいう形になったところはあります。とはいえあのなかでも“削れているな”とは感じていました。ちょっと横に動きつつ、受け止めながら。こういう場面も必要だろうなっていうのは試合前から考えていたこと。遠い距離でやれるのが一番ですけど、倒すためには相手も削っていかないとダメ。モロニーのいいパンチをもらったりもしましたけど、削りながら試合はコントロールできていました。
――“削り”の効果が出たのが、8ラウンド以降。フットワークを再び使い始めると、相手は追いつけなくなってきます。
中谷 その8ラウンドから、モロニーはだいぶ疲れているなと感じました。遠い距離でも近い距離でも戦えたら、相手を戸惑わせることにもなりますから。もちろんレベルの高い接近戦、中間距離での戦いというのはまだまだ成長させなければならない部分ではあります。
――11ラウンドには2度目のダウンシーンが生まれます。再三ワンツーを打ち込んでいた流れで、ワンから伸びのあるツーで後方に倒します。
中谷 ルディからこっち(右ジャブの外側)に頭を振ってきたときには、そこに合わせて左ストレートっていうのは、試合前に言われていたこと。ここも想定どおり。スムーズに出たパンチではありました。
――そして12ラウンド、モロニーを沈めた肩越しからガードの真ん中を狙う左オーバーハンド。ここも想定どおりだとうかがいました。
中谷 (トレーナーの)岡部大介さんから“あのパンチは入る”とアドバイスを受けていました。これまでは横から振るパンチが多かったんですけど、モロニーはそれこそガードの真ん中が空いているので真ん中に縦に入れる感じで練習していて、ドンピシャで当たりました。
――相手はパンチが見えていない感じでしたね。
中谷 頭の移動があったので、そこに意識が向けられていたのかな、と。振り幅で力を溜めることによって強いパンチが打てて、なおかつ相手からしたら見えていない。だからああいうダウンを奪えたのかなと思います。
試合後は、意外に眠れた?
――これでWBO世界フライ級王座に続く2階級制覇達成。4度目の世界戦で初めて12ラウンドを戦いましたが、スタミナはまったく問題なさそうでしたね。
中谷 体力もそうですけど、12ラウンドすべて集中力を持って戦えたのも僕にとっては収穫でした。これもルディ、岡部さん、(所属するM.Tジムの)村野(健会長)はじめスタッフのおかげだと思っています。
――想定どおり、作戦どおり。チーフトレーナーのルディからは試合後、どのような言葉があったのですか?