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ボクシングPRESSBACK NUMBER
ラスベガス衝撃のKO劇から1カ月…無敗の“ネクストモンスター”中谷潤人25歳は、井上尚弥をどう思っている?「井上さんの凄いところは…」
posted2023/07/02 17:01
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Shigeki Yamamoto
<NumberWebインタビュー全2回の2回目/前編へ>
◆◆◆
中谷潤人のニックネームと言えば、つい最近まで「愛の拳士」だった。
リングを降りれば、笑顔の多いお兄ちゃん。家族が経営していたお好み焼き店のお客さんが名づけたそうだが、周りから愛されるキャラクターだけにしっくりとくる。ボクシングを通じて感謝を伝えられることもあって本人も気に入っているようだ。
”ネクストモンスター”についてどう思っているのか?
しかし今では勝ち筋を見つけて圧倒していくそのスタイルと、井上尚弥に続く逸材としての期待の高まりから「ネクストモンスター」と呼ばれることのほうが多くなった。ラスベガスで衝撃的なKO勝ちを収めたことで、ますますこっちのほうが“主流”になってくるのは間違いない。
ネクストモンスターと称されること自体、本人はどう思っているのだろうか。
「もちろんありがたいと思ってます。でも自分がネクストモンスターだなんてちょっとおこがましいと言いますか。井上さんには日本人ボクサーとして刺激をたくさんもらっているので、少しでも追いつけるようにはしたいし、僕は井上さんのように一発で倒せるタイプではないなかで今回(アンドリュー・)モロニーにそういう勝ち方ができて良かったなとは感じています」
面はゆい。表情や言葉からはそんな感情がうかがえる。というのも己が目指すところを、井上が先に突き進んでいるからだ。
「井上さんの凄いところは距離の繊細さ。試合が始まって1ラウンド中に、相手との距離を把握できてしまうアジャスト能力がある。僕なんかはまだ時間が掛かってしまうし、相手を受け入れて嫌がる方法を理解したうえで詰めていかなきゃいけない。そのときに相手のパンチをもらってしまうこともある。だけど井上さんは常に足で(相手の距離を)外してとか、繊細に駆け引きできるんです」
中谷が井上尚弥をリスペクトする理由
タイプ的には違えども、キャリア的にモンスターとネクストモンスターがどこか重なり始めていることが何とも興味深い。