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ウナギ・サヤカ「今一番勢いがあるレスラーは私」 強気で生意気、アンチがいても…“傾奇者”はなぜ大物に愛される?「身の丈とか分からないので」
posted2023/06/20 17:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
「今プロレス界で一番勢いがあるのは私」
堂々とそう言い切るのは“傾奇者”ウナギ・サヤカである。2019年に東京女子プロレスでデビューし、2020年からはスターダムで活躍。昨年10月以降は「ギャン期」と称してさまざまな団体に参戦するようになった。
センダイガールズプロレスリングでタッグ王者の橋本千紘&優宇に1対2の闘いを挑んでみたり、マーベラスでは長与千種に「最後の弟子になってやってもいい」とアピール。行く先々で話題を呼んでいる。ウナギが出場する大会には「ひつま武士」と呼ばれるファンが集結。話題性や集客力も、プロレスラーの“実力”のうちだ。
自分からケンカを売って対戦「お前を査定してやる!」
今年のゴールデンウィークには、ディアナで井上京子戦、マーベラスで彩羽匠戦、ZERO1のスペシャルイベント『押忍PREMIUM』で高橋奈七永戦と、トップ選手とのシングルマッチを短期間で経験している(それもすべて違う団体で)。
結果としては全敗。ギャン期の勝率は決して高くない。それは格上の選手と当たることが多いからだ。当たるというより、とにかく自分からケンカを売って対戦を迫る。キャリア、実績の差がどれだけあろうと「お前を査定してやる!」が決め台詞だ。もちろん相手のことは呼び捨て。
井上京子は「さんをつける気はない?」と苦笑していたが、ウナギは「私が勝ったらさん付けで呼んであげてもいい。私に負けるまで絶対に引退しないって約束してください」。グイグイと懐に飛び込んでくるから、ベテラン選手も悪い気はしないのかもしれない。
ベテラン相手でも「遠慮してる場合じゃない」
「せっかく試合を受けてくれたのに、遠慮してる場合じゃない。今のプロレス界で一番おいしいカード組んでもらってると思うから、一番おいしくいただかないと」
そうウナギは言う。ベテラン、あるいはレジェンドと呼ばれる選手をリスペクトしているのは当たり前の話で、だからといって最初から胸を借りるような姿勢では意味がない。
「井上京子はいつもアホみたいに酒飲んで、アホみたいにメシ食って、でも朝からちゃんと(運営する)こども食堂のご飯作って。辛いこともあるはずなのに後ろ向きなことは絶対言わなくて、いつも明るく笑ってる。いくらでも偉そうにしてていいのに全然偉そうじゃないし。ああいうのが本物のプロレスラー、私がなりたいプロレスラーだなって。いつか私が引退したとして、シングルマッチができたことは忘れないし、これからのレスラー人生“あの試合があったから頑張れた”って思うはず」