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「強くしてほしい…」レスリング藤波朱理(19歳)が“父親の前で号泣”した中学時代…122連勝“吉田沙保里超え”を叶えた「強制しない」指導法
posted2023/06/20 11:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JIJI PRESS
レスリングの全日本選抜選手権(6月15~18日)で、壮大な記録が誕生した。あの吉田沙保里が保持していた連勝記録「119連勝」が塗り替えられたのである。
達成したのは53kg級の藤波朱理。この大会を前に119連勝中だった19歳の藤波は、初戦となった準々決勝で東京五輪金メダルの志土地(旧姓向田)真優と対戦、フォール勝ちして120連勝となり、吉田の記録を更新する。準決勝で佐々木花恋にフォール勝ちすると決勝でも清岡もえにテクニカルフォール勝ち。圧倒的な強さを見せ、中学2年だった2017年9月の全日本女子オープンから始まった連勝を「122」に伸ばした。
藤波自身は「(連勝記録について)特に何も思っていません」と冷静に受け止めるが、連勝には2021年に優勝を飾った世界選手権など国際大会も多数含まれる中で、6年弱、無敗であり続けている。
「次代のエース」と言われ続けた逸材
「レスリングの次の時代を背負う逸材」
「次代のエース」
と、早くから期待が寄せられてきたが、連勝記録とその中身からすれば、もはや「次代の」というにとどまらない存在感を放っている。
今回の優勝で今年9月の世界選手権代表を射止めたが、ここでメダルを獲得すればパリ五輪代表に内定する。
「優勝した瞬間に、世界選手権で優勝する目標がすぐに頭に浮かんできました」
かねてから「パリでの金メダルが目標です」と語ってきたから、今回の優勝もその過程の1つに過ぎないし、連勝も過程で生まれる1つとして、そこまで重く受け止めずにいられるのかもしれない。