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「テレビカメラには映らなかった」大谷翔平の笑顔、ダルビッシュが佐々木朗希にかけた忘れられない言葉…“ウワサの”WBC密着映画、何がスゴい?
posted2023/06/15 06:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
KYODO
2023年の3月を、もう一度。
映画『憧れを超えた侍たち 世界一の記録』は、あのワールドベースボールクラシックの“熱”を違う視点で掘り下げた傑作である。
当然、われわれは結果を知っている。それでも、この映画を見た後には余韻に浸ることができる。
前半は、会議のシーンが続く。
栗山英樹監督を座長とする選手選考会議の様子である。これが面白い。
これを見ると、当初から栗山監督がメジャーリーガーを呼ぶことに並々ならぬ意欲を見せていたことが分かるし、なにより選手たちにプライドを持ってもらおうという熱が横溢している(レッドソックスへの入団が決まった吉田正尚をめぐる話は、極めて興味深い)。
実は、スワローズの高津臣吾監督から、こんな話を聞いていた。
「侍ジャパンの事務局からは、選ばれる選手の話は来ていたんですが、その選手には黙っていてくださいと言われてるんです。栗山監督から直接、伝えたいということで」
その理由がこの映画を見ると、分かった。監督の熱を選手にダイレクトに伝えるところから、チーム作りは始まっていたのだと。
「忘れられない」ダルビッシュ&佐々木朗希のシーン
映画が進むにつれ、侍ジャパンは監督の熱に呼応した選手によって構成されていることが分かってくる。選手のチームに対する忠誠心、コミットメントの力がハンパないのだ。
この点に関していえば、強烈な印象を残すのは源田壮亮だ。