酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「大竹耕太郎0.71、佐々木朗希1.23」だけどランク外? 大谷翔平も昔、防御率トップを狙えたけど…“今ドキの規定投球回”事情
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2023/06/07 06:00
抜群の安定感を見せる大竹耕太郎と佐々木朗希。ただ6月5日終了時点では防御率ランキングに彼らの名前はない
この対策として、規定投球回数のラインを「チーム試合数×0.8」程度に下げることも考えられるが、一方で長いイニングを投げてチームに貢献した投手の努力が報われないことにもつながりかねない。
“貢献度の高さ指標”で見ると阪神・大竹がスゴい
筆者はPR(Pitching Run)という指標を使うべきだと考えている。すでにこの週間振り返りでは毎週紹介しているが「(リーグ平均防御率-その投手の防御率)×(その投手の投球回数)÷9」で導き出される。リーグ平均より良い防御率で、より長く投げた投手が上位に来るようになっている。両リーグのPR10傑は以下の通り。
〈パ・リーグ〉リーグ平均防御率3.06
1 山下舜平大(オ)7登5勝0敗0S0H 42.2回 率0.84 PR 10.41
2 佐々木朗希(ロ)7登4勝1敗0S0H 44回 率1.23 PR 8.94
3 髙橋光成(西)10登4勝3敗0S0H 70回 率1.93 PR 8.79
4 宮城大弥(オ)8登5勝1敗0S0H 53.2回 率1.68 PR 8.16
5 西村天裕(ロ)20登0勝0敗0S5H 20回 率0.00 PR 6.80
6 鈴木健矢(日)14登5勝2敗0S1H 46.1回 率1.75 PR 6.71
7 加藤貴之(日)10登4勝3敗0S0H 72回 率2.25 PR 6.48
8 平良海馬(西)8登4勝1敗0S0H 50回 率1.98 PR 6.00
9 オスナ(SB)17登0勝0敗11S5H 17回 率0.00 PR 5.78
10 山本由伸(オ)7登4勝2敗0S0H 46.1回 率1.94 PR 5.74
イニング数は少ないが、防御率の傑出度でオリックスの山下がトップ。続いてロッテの佐々木朗希。注目すべきは、ロッテの西村、ソフトバンクのオスナと救援投手でも抜群の成績ならランクインしている点だ。
〈セ・リーグ〉リーグ平均防御率3.37
1大竹耕太郎(神)8登6勝0敗0S0H 51回 率0.71 PR 15.07
2村上頌樹(神)8登5勝1敗0S1H 51回 率1.41 PR 11.11
3才木浩人(神)8登4勝3敗0S0H 51.2回 率1.74 PR 9.27
4九里亜蓮(広)9登4勝2敗0S0H 62回 率2.03 PR 9.23
5森下暢仁(広)5登2勝1敗0S0H 34.2回 率1.30 PR 7.87
6床田寛樹(広)8登4勝1敗0S0H 52.1回 率2.06 PR 7.58
7サイスニード(ヤ)9登4勝2敗0S0H 50.1回 率2.15 PR 6.82
8マルティネス(中)19登1勝1敗13S3H 18回 率0.00 PR 6.79
9上茶谷大河(De)15登1勝0敗0S0H 23.1回 率0.77 PR 6.67
今季、現役ドラフトでソフトバンクから阪神に移籍した大竹の傑出度がはっきりわかる。阪神は大竹など3人の先発投手で、首位を快走していると言える。セ・リーグでも救援の中日マルティネスがランクインしている。
沢村賞は毎年「候補が少なすぎる」ことが話題になるが、先発投手の概念が変わっていることを前提に、改革すべき時が来ている。従来の基準では埋もれてしまう「貢献度の高い投手」にスポットが当たるように制度改革すべきだろう。
山本由伸、宮城らオリ投手陣が好調だった
【2023年5月29日~6月5日 週間成績】
〈パ・リーグ〉
オリックス6試4勝2敗0分 率.667
日本ハム6試4勝2敗0分 率.667
ソフトバンク6試3勝3敗0分 率.500
西 武6試3勝3敗0分 率.500
ロッテ6試1勝4敗1分 率.200
楽 天5試1勝4敗0分 率.200
交流戦に入ってもオリックス、日本ハムが依然好調。オリックスはロッテから首位奪還。楽天は首位から10.5差の最下位に沈んでいる。
〈打撃成績5傑〉※打撃の総合指標であるRC=Runs Create順
加藤豪将(日)21打10安4本6点 率.476 RC9.64
万波中正(日)21打11安2本3点1盗 率.524 RC9.30
近藤健介(SB)24打10安3点 率.417 RC5.64
岡大海(ロ)22打7安1本3点2盗 率.318 RC5.53
中村晃(SB)24打10安2点 率.417 RC5.49
日本ハムの加藤はNPB新記録のデビューから8試合連続安打。それだけでなく4本塁打はリーグ1位で、同じく日本ハムの万波は3週連続で2本塁打と量産体制に入っている。打点は6月1日の広島戦でプロ初本塁打を満塁機で打ったオリックスの茶野篤政が8打点。盗塁はロッテの岡、西武の若林楽人、同じく渡部健人、外崎修汰、ソフトバンク周東佑京が2盗塁を決めた。なお渡部は6月5日のDeNA戦で115kgの身体でホームスチールを決めた。
〈投手成績5傑〉※リーグ防御率に基づくPR=Pitching Run順
宮城大弥(オ)1登1勝9回 責0率0.00 PR3.23
山本由伸(オ)1登1勝8回 責0率0.00 PR2.87
平良海馬(西)1登7回 責0率0.00 PR2.51
田嶋大樹(オ)1登6回 責0率0.00 PR2.15
山下舜平大(オ)1登1勝6回 責0率0.00 PR2.15
則本昂大(楽)1登1敗6回 責0率0.00 PR2.15
オリックスの先発陣が引き続き好調。5投手が6回以上投げて無失点。5日現在でパ防御率トップの宮城は6月4日の中日戦で遊撃への内野安打を2本許しただけで完封勝利を挙げた。救援は6投手が1セーブ、ロッテの益田直也ら6投手が2ホールド。