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「宮里藍以来のすごさですね」23歳古江彩佳のショットを見たメーカー担当はなぜ言葉を失った? 渋野と笹生に続くメジャー制覇への期待感
posted2023/05/31 11:04
text by
南しずかShizuka Minami
photograph by
Shizuka Minami
またも、あと一歩届かなかった。
5月24〜28日にネバダ州シャドークリークGCで行われた「バンク・オブ・ホープLPGAマッチプレー」。日本勢でただ一人参戦した古江彩佳(23歳)は昨年に引き続き、決勝に進出した。最後はタイのパジャレー・アナナルカルン(24歳)に3&1で敗れたが、改めて勝負強さを証明した。
2021年から始まった同大会は、米女子ツアーの唯一のマッチプレー形式で、5日間合計7マッチ・116ホールで行われる。全64選手が4人・16グループに分けられ、3日間による総当たり戦で勝ち上がった各グループ1位がトーナメント方式で頂点を目指すというもの。
そんな長丁場の過酷な大会でも古江の存在感は際立っていた。グループステージは3戦全勝。決勝トーナメント1回戦と準々決勝は相手に先行を許しながらも逆転勝ち。準決勝はレオナ・マグワイア(アイルランド)にリードされながらも、粘りを見せて勝利をもぎ取った。
過去2大会の通算成績を振り返れば、戦績は11勝1分2敗。勝率78.5%とマッチプレーで圧倒的な数字を残している。
なぜ古江は1対1に強いのか。
試合を中継したWOWOWで現地レポーターを務める片平光紀は、その勝因の1つに「メンタル」を挙げた。
強気のパッティング、キャディと雑談
マッチプレーでは、選手たちはいつもとは異なるプレッシャーがかかる。それによって体が強張り、スイングのリズムが速くなるなどミスショットを誘発するケースは珍しくはない。キャディとの会話も少なくなるなど、プレー間の動きにも影響が出る選手だっている。
だが、大会期間中に片平が目撃した古江の姿は“いつも通り”だった。
「試合の行方を左右するような微妙な距離のパーパットを確実に決めていました。しかも、カップの反対側の縁にあたるほどの強気のパットなので、(強張らず)ちゃんと手が動いているんだなと。あと、相手にリードされた状況でも、プレーの合間は普段通りに笑顔でキャディさんと雑談していました」
1対1の対決とあって、より対戦相手を意識し、いわゆる心理戦の意味合いも色濃くなる。どんな状況でも動揺する様子が見受けられないのは、相手からすれば“やりづらい相手”。普段から自分のペースを崩さない古江にとっては好相性のレギュレーションなのかもしれない。