しかし、米ツアーは「メンタル」だけで勝ち切れるほど甘くはない。

　実際、今大会の会場となったシャドークリークGCは、フェアウェイやグリーンは硬く、ラフが長い難コース。まさにメジャーに匹敵するタフなコンディションだった。事実、特にホールの後半ではスコアを乱す選手たちが多く見受けられた。

　だが、古江はメンタルと共に安定した技術で次々と強者たちを退けていく。たとえ序盤でリードを許しても、中盤から流れを作り、後半に逆転するという勝ち方が何度もあったのはマグレではない。

「コースの状況を把握した上で、狙いたい所にしっかりと狙っていく技術を持ち合わせていました」（片平）

昨年に引き続き、決勝に進んだ古江彩佳。今大会でもショットの正確性が光った　©︎Getty Images

宮里藍をサポートした中原氏の証言

　古江が用品契約するブリヂストンスポーツのツアープロ担当の中原創一郎さんも、古江の技術力に感心する一人。かつては宮里藍を長年サポートするなど国内外で男女のプロゴルフファーを支えるこの道22年目のベテランだ。

　中原さんが初めてアメリカでプレーする古江を見たのは4月のシェブロン選手権。初日にショットを間近で見ると、思わず「うわっ……」と唸ってしまったという。

シェブロン選手権で中原さん（左手前）と言葉をかわす古江彩佳（2023年4月）©︎Shizuka Minami

「（昨年のルーキーイヤーで優勝するなど）古江さんはすごく活躍されていて、その活躍の要因はなんだろうと思っていたのですが、実際にプレーを見たことで、それがようやくわかりました」

　中原さんを驚かせたのは正確無比なコントロールだった。

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