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「期待しないでくれよ」新ストッパー指名でも、ふてぶてしさ炸裂! カープ矢崎拓也の2023年版“投げる哲学者語録” 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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posted2023/05/22 11:00

「期待しないでくれよ」新ストッパー指名でも、ふてぶてしさ炸裂! カープ矢崎拓也の2023年版“投げる哲学者語録”<Number Web> photograph by KYODO

慶應大卒で現在28歳の矢崎。ふてぶてしいのか天然なのか、独特の言葉はファンの間でしばし話題となっている

 大きく揺れた青い荒波を静めても、マウンドの背番号41は大きく息を吐くだけで、感情を表に出すことはなかった。

「僕はあまり自分に期待しないんです。でも周りからは、今年は多少期待されている。期待しないでくれよと思ったんですけど。『期待しないで』というのは僕の期待になる。期待されることもありがたく自分の力に変えられればいいかなと。力に変えるのは僕にしかできないので、すべておいしくいただけたらいいなと思っている感じです」

 変わっていく周囲との向き合い方も、またそれを表現する言葉もまた、矢崎らしいオリジナリティに富んでいる。

 今年で7年目も、1年目のプロ初登板初勝利の輝きから5年は、スポットライトを浴びることがなかった。2年目の2018年は一軍登板なし。19年からも一桁登板が続き、働き場所は二軍が主だった。初めて開幕一軍入りした昨季は、シーズン途中からセットアッパーに定着するなど47試合を任された。

 期待されない存在から、期待される存在となった。左脇腹痛で出遅れた今季、その期待はさらに大きくなった。大きくなればなるほど重圧となり、応えられなければ失望に変わる。

そこに立っている時点で褒美かな

 ただ、光のない道を歩んできた矢崎だからこそ、まぶしいほどの舞台でも、自分のままでいられるのかもしれない。

「みんなは勝つことが喜びだと思う。僕ももちろんうれしいですけど、抑えられたことだけでなく、あの場に立つこと自体ありがたい。結果が出ているときと比べたら、結果が出ていないことがすごく嫌なことのように感じますけど、そもそも思い返せば、そこに立っている時点で褒美かなと」

 過去があるから今がある。挫折や苦労ばかりの過去と向き合っているからこそ、強烈なアイデンティティーを放っている。栗林が帰ってくる近い未来、ポジションを再びセットアッパーに移すことになるだろう。それでもきっと矢崎は変わらない。そして今、クローザーとして過ごす経験が彼の未来をつくっていく。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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