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「大谷翔平がシーズン記録更新するかも」最近よく聞く「打撃妨害」マメ知識…張本勲ら安打製造機が名人、松井秀喜もMLBで急増してた
posted2023/05/15 11:02
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Icon Sportswire/Getty Images
大谷翔平が、現地時間5月12日(日本時間13日)のガーディアンズ戦で今季5つ目の打撃妨害を記録して話題になっている。打撃妨害(interference)は、きわめてレアなスタッツだと言える。
〈公認野球規則6.01 妨害〉
(c)捕手の妨害
捕手またはその他の野手が、打者を妨害(インターフェア)した場合、打者は走者となり、アウトにされるおそれなく、安全に一塁が与えられる。
一般的には、打者が打とうとして出したバットに、捕手のミットが触った場合に「インターフェア」が宣せられる。
なお打撃妨害は打数には算入されない。また出塁数にも算入されないので、打率、出塁率には影響を与えない。
今季の大谷は長いバットを使っている分だけ…
「打撃妨害」はプロ野球の公式記録だが、極めてレアな記録のため、話題に上ることはほとんどない。NPBが編集する「オフィシャルベースボールガイド」では、打撃妨害は「打数」の横に▲で表示される。
今季、大谷翔平は昨年よりも1インチ(2.54cm)長い34.5インチ(87.6cm)のバットを使用している。かつて中村紀洋などがこの長さのバットを使ったとの話もあるが、村上宗隆は33.4インチ(85cm)だから、日本人選手としては際立って長い。ただ重さは前年までと変わらないと言う。
この長いバットを、長い腕で持って、思い切り投球を引き付けて打っている。5月11日(日本時間)のアストロズ戦での第8号ホームランなどは、あたかもゴルフスイングのように地面に落下しそうなボールをすくい上げてスタンドに運んでいる。捕手の差し出すミットと接触する可能性は、一段と高まっているのだ。
NHK BSの放送で解説を務める新井宏昌氏は「大谷選手は、まだこの長いバットを自在に使っているとは言えませんね」と語っていたが――いずれにしても「バットが長くなったこと」そして大谷がこれまで以上に投球を引き付けて打っていることで「打撃妨害」が増加したのだと言えよう。
日米ともに「打撃妨害出塁の名人」がいる
「打撃妨害」は狙って取る記録ではないはずだが、実は日米ともに「名人」がいる。