松坂大輔「怪物秘録」BACK NUMBER
松坂大輔「わざと試したオープン戦」(連載24)
posted2023/05/16 09:00
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph by
Kiichi Matsumoto
ついに迎えたプロ1年目のキャンプ。松坂は西武投手陣の層の厚さを目の当たりにする。そして迎えたオープン戦、結果が出ない登板が続くが、これは“怪物”の作戦だった。
ルーキーイヤーのキャンプで、松坂大輔は人の目に晒され続けた。怪物と呼ばれていてもまだ18歳。肉体的な疲れに気疲れも加わって腸炎を患ったり、振りかぶったときの手首の見え方で球種がバレると騒がれたり、必要な投げ込みをフォーム修正のミニキャンプだと過剰に反応されたりと心安らぐ間のない日々を過ごしていた。
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プロのキャンプでまず驚いたのは、一軍の投手陣の質の高さでした。西口(文也)さん、(石井)貴さん、デニーさん、森慎二さんの投げるまっすぐは速いし、変化球はキレるし……一緒に投げていてすごく楽しかったんです。高校のときは自分より速い球を投げるピッチャーを見たことなかったし、そもそも他の人が投げる150kmを間近で見たことがなかった。それだけのレベルのピッチャーが揃うブルペンで投げたこともなかったので、新鮮でした。自分と比べるとか、気圧されるような感じはまったくなく、こういうメンバーと一緒に投げられることがすごく楽しかったんです。