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「お前しかいない」明治ラグビー“100代目の主将”を託された“エリート”廣瀬雄也の魅力「ステップ踏まずに正面からぶつかる」
text by
中矢健太Kenta Nakaya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/05/17 11:01
明治大ラグビー部の主将を務める廣瀬雄也(4年)。すでに開幕している春季大会は2試合連続で欠場となったが、頼もしい男が日本一へ向けてチームを牽引する
廣瀬が明治のキャプテンに決まったのは、2月頃だった。同期の話し合いで、みんなに推された。自分で手を挙げてキャプテンになったことは、今までに一度もなかった。いつも誰かに推されて、キャプテンになってきた。
「まわりが3年間の僕を見て、キャプテンはお前しかないって言ってくれた。だから、その3年間には自信を持っていいと思っているんですよ。他のキャプテンとは違った理由っていうか、みんなから推されてキャプテンになった分、その期待に応えないといけないなって」
だから、キャプテンになっても、自分がすべきことは変わらない。目標とするキャプテン像は、ない。自分は自分。先を歩いた誰かではなく、あくまで自分の色を出していきたい。
「すべて終わったときに、みんながこう思ってくれたらいいなとか、こういうチームで終わったらいいなっていう理想を自分の中で持っているって感じですね。誰のようなキャプテンになるというよりは、自分の色のキャプテンシーを出していこうかなと」
キャンパスで実感する注目度の低さ
実はまだ、廣瀬は日本一を経験したことがない。高校時代、出場した2、3年の花園では、いずれも桐蔭学園の壁に阻まれ、決勝に進めず。中学時代は福岡選抜に選ばれたものの、全国大会の決勝で京都に敗れた。明治での3年間も日本一を逃している。
廣瀬ら4年生は、大学入学時点からコロナの分断にも苛まれてきた。授業はほぼリモートで、大学のキャンパスに通うこともあまりなかった。学内でのラグビー部の人気は、いっときよりも感じていない。
「キャンパスで見られることはあっても、僕たちはいつも半袖短パンだから、違う意味で見られていると思うんですよ(笑)。あまり喋りかけられることもないし、SNSのフォロワー数も少ない。校門入ってすぐに、秩父宮での試合前に校歌を歌っているでっかい写真が飾られているんですけど、みんな素通り。昔みたいに体育会生と一般生が交流する機会もあまりなくて。コロナで試合をなかなか見に行けなかったこともあると思います」