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「お前しかいない」明治ラグビー“100代目の主将”を託された“エリート”廣瀬雄也の魅力「ステップ踏まずに正面からぶつかる」
text by
中矢健太Kenta Nakaya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2023/05/17 11:01
明治大ラグビー部の主将を務める廣瀬雄也(4年)。すでに開幕している春季大会は2試合連続で欠場となったが、頼もしい男が日本一へ向けてチームを牽引する
昨年の大学選手権準々決勝。明治は早稲田に逆転を許し、21-27で敗れた。この5年間、1月2日の準決勝には、必ず紫紺のフィフティーンの姿があった。その明治が、年をまたぐことなく、シーズンを終えた。
12番で出場した廣瀬は現実を受け止めきれずに唖然としながら、秩父宮のロッカールームを出た。チームのバスは、言葉に表せないような重い空気が漂っていた。寮に着くと、サポートメンバーが迎えてくれた。そこにはメンバー入りが叶わず、スタンドで大学ラグビーを終えた先輩の姿もあった。
「本当にありがとう」「おつかれさま」
かけてくれた一つ一つの言葉が、生々しいほど心に刺さった。勝たせられなかった申し訳なさで、胸がいっぱいになった。
正月の過ごし方がわからなかった
高校時代は花園で正月を過ごしてきた。いつもチームの宿舎で元旦を迎え、練習。家族でゆっくり過ごす時間はない。だから緊張感のない年越しは久々だった。どう過ごせばいいか、わからなかった。
結局、東福岡に通う自身の弟・幹太をはじめ同期の弟が各校で花園に出場していたこともあり、年末年始は大阪で過ごすことにした。家族で過ごす数年ぶりの正月は、父の実家に集まった。
久しぶりに家族と過ごした時間は嬉しかった。だが同時に、言葉にせずとも心に決めた。
「正月はもう一緒に過ごさないよ」
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