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オリンピックへの道BACK NUMBER
高橋と村元は自然と目を合わせ…“かなだい”引退会見で見えた“2人の信頼関係”「これ以上の最高のパートナーはいない」「僕から哉中ちゃんに…」
posted2023/05/05 17:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
5月2日、午後2時。
開始時刻となり、村元哉中と高橋大輔が前もって開かれていた扉の向こうに姿を現す。おじぎをした2人は、やがて村元哉中を前に、高橋大輔がその後ろに続いて場内へと足を運ぶ。横に並び多くのテレビカメラやスチールカメラ、記者の前に立つ。
2022年四大陸では銀メダルを獲得
前日、引退することを発表した村元と高橋はそろって会見に臨んだ。
2人の希望で、通常の記者会見の席やテーブルを並べるスタイルではなく、2人を中心に取材側がぐるっと囲む、いわゆる「囲み取材」の形式で実施。挨拶から始まった約1時間は、結成して3シーズンの内実を雄弁に伝えた。
あらためてたどれば、2人は傑出したパフォーマンスを見せてきた。
高橋は2010年のバンクーバー五輪で日本男子初の表彰台となる銅メダル、同シーズンの世界選手権で日本男子初の金メダルなどシングルで輝かしい成績を残してきた。2014年に一度現役から離れるも2018年に現役復帰を決断。その後、2020年から村元とともにアイスダンスに挑むことを表明した。
異例のチャレンジに大きな注目が集まる中でスタートを切り、初年度は大方の予想を上回る完成度の高い演技に到達。2シーズン目には得点を大きく伸ばし、四大陸選手権で銀メダルを獲得、世界選手権にも出場した。
2022-2023シーズンは全日本選手権で初優勝を果たし、今年3月の世界選手権では日本最高順位タイとなる11位に。4月の世界国別対抗戦では記憶に残る会心の演技を披露し、フリーダンスと合計得点で自己ベストを更新。これまで1つ1つのプログラムを通して伝えた2人ならではの世界観と表現は、アイスダンスの世界に新風を呼び込んだ。
実は(2月の)四大陸選手権の後にお伝えしました
その2人が競技生活に終止符を打った。今シーズン終盤の世界選手権、世界国別対抗戦では、これからについての質問を受け、その都度、「これから考える」という姿勢を見せていた。だが、実際にはすでに決意は固まっていた。