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オリンピックへの道BACK NUMBER
高橋と村元は自然と目を合わせ…“かなだい”引退会見で見えた“2人の信頼関係”「これ以上の最高のパートナーはいない」「僕から哉中ちゃんに…」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2023/05/05 17:00
2人そろって引退会見をおこなった村元哉中(かな)と高橋大輔の通称“かなだい”ペア。2人の会見での様子から築き上げてきたものが感じ取られた
「ほんとうに2人が同じビジョンを持っていないと気持ちも一緒にならないですし、自分の理想だけじゃなくチームとしての理想を、自分よりチームを前に置けるか。ほんとうに2人で何かを創り上げるってすごい大変なことだと思います」
それを実践してきた2人だからこそ、描けた3シーズンであったのだ。
壇上でマイク越しに答える形式ではなく、囲み取材という形式をとったこともあったからか、一貫して穏やかであたたかな空気が流れていた。
新しいパートナーを探すっていう選択肢は…
今後についても質問が飛んだ。考えられる選択肢としては、高橋が引退しても村元は現役を続行し、新たなパートナーを探す道もあった。でも村元は、高橋とともに引退する道を選んだ。
「これ以上の最高のパートナーはいないなって感じていますし、新しいパートナーを探すっていう選択肢は全く出てきませんでした」
さらにこう語る。
「ワンシーズン、ワンシーズン、いろいろなプログラムを創り上げていく過程で、大ちゃんとの感性だったり、大ちゃんが表現したいものと私が表現したいものが自分の中ではすごいマッチしてるなっていう思いがシーズンごとにすごく強くなっていって。それこそ『ソーラン節』は世界でもすごいインパクトがあったプログラムになったんじゃないかなって感じて。今シーズン、リズムダンスがとてつもなく“速い”プログラムで、みんなに『すごいね』と言っていただきました。(高橋大輔がシングル時代に演じ、今季のフリーダンスに選んだ)『オペラ座の怪人』も一緒に大ちゃんと滑ると思ってもいなかったです。これ以上の作品を一緒に作っていけるスケーターはいないだろうなって思っちゃったので」
1時間ほどの時間で語られた言葉は、2人の歩みの一端かもしれない。でも、言葉1つ1つに込められていたのは、3シーズンにわたり築いてきたアイスダンサーとしての堅い信頼関係であった。
村元の不安「大丈夫かな」「もう声をかけちゃったし」
2人の道のりは、2019年1月、村元が高橋にコンタクトをとったことから始まった。