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シーズン開幕前にスポンサーと契約終了…友野一希24歳が“正念場の1年”で考えたこと「何を弱気になっているんだろう」「さすがと言われる選手になりたい」
posted2023/04/24 17:01
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
成果をあげた。だからこそ進むべき道も見えてきた。フィギュアスケーター友野一希にとってそんな1年となった。
自分にいちばん足りないのは懸ける思い、気持ち
ときに「氷上のエンターテイナー」とも呼ばれる。その称号にふさわしく、観る人を惹きつける個性とともにフィギュアスケート界で存在感を放ってきた友野は1年前の2021-2022シーズンを終えたあと、新たなシーズンへの決意を固めていた。
「(北京五輪の中継を観ていて)技術の違いはあるけれど、自分にいちばん足りないのは懸ける思い、気持ちだと感じました。そういう思いでやれば、自分も技術面をもっと伸ばせるはずだと思いました」
「(世界選手権では)表彰台が懸かった中でも自分の演技ができる覚悟を持って練習してきたんだな、と感じさせられました。(優勝した宇野)昌磨君、(2位の鍵山)優真君。(3位の)ヴィンセント(・ジョウ)もそう」
友野とてフィギュアスケートに強い思いをもって取り組んできたし、怠ってきたわけでもない。ただもう一段、自分の意識を上げる必要があると感じていた。
競技継続が困難な逆境にも友野は…
迎えた2022-2023シーズンは、リンクの内外でその覚悟を問うような“試練”に直面した。
シーズン開幕を前に、支援を受けてきたスポンサーとの契約が終了した。それは少なくない費用がかかるスケーターにとって競技継続が難しくなることを意味する。大会後には取材などを通じてスポンサーを募集していることを伝えた。大会出場にあたっては所属先がなければならないため、中学時代まで過ごした上野芝スケートクラブに所属する形をとった。
リンクの中でも課題と向き合ってきた。