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《甲子園優勝監督対談》智辯和歌山・中谷仁と仙台育英・須江航が語る”Z世代論”「子供を叱ることに意味はない」「毎日、日替わりで面談」
posted2023/05/02 17:00
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Kiichi Matsumoto / Hideki Sugiyama
◆◆◆
――和歌山出身の中谷仁監督はプロ野球選手時代、楽天に6年間在籍し、埼玉出身の須江航監督は仙台育英OBで、おふたりとも東北・仙台に縁があります。2018年から母校の監督となったという共通点もあり、以前から交流があったとお聞きしています。出会いの経緯は何だったんですか?
須江 共通点なんてそんな。埼玉のど田舎で高校野球雑誌を読み漁っていた少年にとって、'97年に甲子園で優勝した智辯和歌山、そのキャプテンである仁さんはスーパースターですから。こうやって対談させていただけること自体が光栄です。
中谷 いやいや、こちらこそありがたいですよ。出会いのきっかけって、何やったかな? 去年かおととしあたりだったような。
須江 僕から一方的に勉強させていただきたいと思って、仁さんに連絡したんです。
中谷 ちょっと記憶が曖昧なんですけど、僕も仙台に長くいたんでその絡みもあったかと。「なかなか東北に行く機会はないかもしれないけど、こちらこそどこかで勉強させてください」ってところから始まって。去年の春にこっちで練習試合しましたね。
須江 勉強させていただきました……。
――その練習試合で仙台育英は智辯和歌山に2-14で大敗したそうで。
須江 はい。でもこの敗戦が、去年のターニングポイントとなりました。
中谷 仙台育英さんと試合して感じたのが、チーム内での競争を勝ち抜いた選手のタフさ。そういった環境を須江君がうまく管理しながら、本当の意味での実力で勝負できるチームを作っている。それは高校生に寄り添いながら育成されているからで。練習試合の結果はまあ、たまたまですよ(苦笑)。140kmを超えるピッチャーが4人くらいいて、「夏の甲子園で当たりたくないな」と。実際に日本一になったのも頷けました。
コロナが選手とコミュニケーションをとるきっかけに
――中谷監督もその前年、'21年夏に日本一に輝いた際、「選手と一緒に成長していく」ことを強調されていました。
中谷 僕自身、まだまだ自信がないんです。智辯和歌山である以上、「勝たないといけない」というプレッシャーを、選手とともに日々感じています。今でも試行錯誤の毎日ではあるんですけど、'20年から始まったコロナが、選手とよりコミュニケーションをとるきっかけになったと思います。
須江 どのようなコミュニケーションを?