「朝倉未来が時代を変えたんじゃないですか」

　打たれ強くなったのは、対戦相手のパンチやキックに対してだけではなかった。金原は「いまの時代は精神的な打たれ強さが一番重要かも」と分析する。

「叩きやすい対象に誰かひとりが火をつけたら、寄ってたかって攻撃を仕掛ける風潮がある。そういう流れはイヤなので、『だったら、見ない方がいい』という答えに行き着きました」

　さらに「いまの時代、格闘家はリングやケージから下りても、メンタルが強くないとやっていけない」という結論に至った。

「女子の方が大変だと思うけど、そこで潰れていく選手が結構いる。チヤホヤされているときはいいけど、何かイヤなことを抱え込むと、ずっと気になってしまう」

　だからといって、SNSを全否定する気持ちはない。むしろ「うまく付き合っていかないといけない」と考えている。

「プロである以上、試合以外にも何らかの方法で“伝える手段”を持っていないと厳しい。個人的にはやるべきだと感じているし、自分の言葉でしっかりと発信していくべきだと思う。そのうえで、SNSはきれいに使いたいですね」

　金原は、ここ数年で格闘技のあり方が根本的に変わったことを実感している。何より大きな要因は、YouTubeによって収益が上がるというシステムが構築されたことだ。

「朝倉未来が時代を変えたんじゃないですか。彼がYouTubeを始めなかったら、格闘技界で追随する人はほとんどいなかったと思う」

　栄枯盛衰。キャリア20年を数える大ベテランは、世の流れを俯瞰して見ている。では、“時代を変えた男”朝倉未来が手がける『BreakingDown』については、どう評価しているのだろうか。

＜続く＞

#2に続く

「BreakingDownも格闘技。ただ、あれをカッコいいと思ったら…」“格闘技界の裏番長”金原正徳40歳が「ホンモノのMMA」にこだわる理由