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「藤井聡太竜王はミスらしいミスが一手もない」A級棋士・中村太地34歳が驚いた名人戦、叡王戦先勝の妙手「序盤でもなるほど、と」
text by
中村太地Taichi Nakamura
photograph byKyodo News
posted2023/04/27 11:02
第81期名人戦に臨んでいる藤井聡太竜王と渡辺明名人
将棋における端側、1筋と9筋における1、2マスの違いはその時点では一見あまり関係がなさそうに見えるのですが、勝利に至るまでには〈序盤の一手が大きな意味を持つ〉というのをご紹介したい、と挙げさせてもらいました。
棋風が大きく異なる相手と藤井竜王はどう戦うか
ただ4月23日に行われた第2局では、先手の菅井八段が再び三間飛車から「穴熊」の展開となり、勝利を収めました。五番勝負ということで連敗すると非常に苦しくなるところで、持ちこたえてタイに戻した菅井八段の意地を感じましたね。5月6日の第3局に勝利した方が叡王位へあと1勝となる、という点でも大いに注目が集まる展開となりました。
タイトル歴代4位の通算31期の渡辺名人、そして振り飛車の第一人者である菅井八段とタイプが違う対局相手、さらには持ち時間などが大きく違う中で、藤井竜王は盤上での戦いを続けています。その辺りについて棋士としてどう感じるか。そこについてもう少し掘り下げてみようと思います。
<#2につづく>
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