カウント2-2から、5球目の直球を左中間へ運んだ。初球と4球目に100キロ台のカーブを投じられ、変化球を頭に入れながら直球に対応した一打。スカウトは「昨年はバットが遠回りして真っ直ぐに差し込まれるケースが気になりましたが、スムーズにバットを出せるようになっています」と進化を感じていた。

真鍋の広角へのヒッティングに成長を感じているようだ　©Nanae Suzuki

「夏にもう一度甲子園で見たい」右の強打者

　右打者で「夏にもう一度、甲子園で見てみたい」と期待を寄せたのは、沖縄尚学の仲田侑仁選手。初戦の大垣日大戦で満塁ホームランを放つなど、3試合で11打数5安打、打率.455と打線をけん引した。身長186センチ、体重96キロの体から鋭い打球を飛ばす。スカウトは、こう話す。

「スイングの速さと強さは今大会トップクラスでした。どれだけの伸びしろがあるのか継続して見たいと感じさせる打撃でした」

　打球を遠くに飛ばす力がありながら、決して荒くはないところも評価する。スカウトは「打ち損じが少なく、配球を読む賢さや打席での対応力もあります」と話す。東海大菅生戦では1アウト一塁から、日當投手が投じた初球のスライダーを引っ張ってツーベース。外角低めの決して簡単ではなかった1球を振り抜いた場面に「真っ直ぐは来ないと相手バッテリーの心理を読み切っていました。他の打席でもカーブを狙って打つなど頭を使い、それを体現する打力がありました」と分析した。

センバツで満塁本塁打を放った沖縄尚学の仲田侑仁　©JIJI PRESS

　両選手ともプロ野球スカウトの目を引く打力を持っている一方、共通する課題は守備にある。真鍋選手も仲田選手も一塁手。プロでは、チーム内で突出した打力がなければ出場機会は限られる。スカウトは「三塁手や外野手ができると可能性は広がりますが、両選手ともグラブさばきやフットワークといった今の守備の動きを見ると、他のポジションへのコンバートには時間がかかるかもしれません」と指摘する。

守備力でスカウトの視線を釘付けにしたのは？

　守備でプロ野球スカウトの視線を釘付けにしたのは、報徳学園の堀柊那捕手。走攻守揃った世代ナンバーワン捕手との声もある中、今大会で光ったのは強肩だった。大阪桐蔭との準決勝。同点の8回1アウト一塁の場面で、バスターエンドランを仕掛けた大阪桐蔭の打者が空振りすると、堀捕手は地を這うような送球で二盗を阻止した。

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