前沢　市長に同志と言うのはたいへん失礼かと思いますが、尊敬の念を込めて言っています。秋元市長とお話しする時はいつも真摯に対応してもらいましたし、どうやったらこのプロジェクトがうまくいくかと考えてくださっていました。

鈴木　ただ、現実的に判断しなくてはならない時が来るわけですよね。私が印象に残っているのは、建設地を決定する間際に北広島市で行われたシンポジウムで、前沢さんが市民に言った言葉です。「何をどこでやるかではなく、誰とやるかが大事なんだ」と。まだ決まる前で、どちら寄りなのか判断されてしまう恐れもあったと思いますが。

前沢　明確に意図を持って言いました。このプロジェクトに限らず、何をやるかじゃなくて誰と一緒にやるかは、自分の人生を豊かにしたり、後悔しないためにも重要なことだとずっと思っていました。それをなぜあの時言ったかというと、たくさんの北広島の市民の方から「ぜひ来てね」と言われたんです。私は強面で、人から話しかけられづらいんですが、主婦の方や年配の方からも言われて。こうやって望まれるところでやるのは重要だなと思ったんです。

エスコンフィールドの開幕セレモニーに登場した新庄監督（上段中央）とファイターズの選手たち　©︎Kiichi Matsumoto

新庄監督からメッセージ入りのものが…

鈴木　ある意味その人たちに向けてのメッセージだったんですね。それから、こんな大きな建造物ができるのは、人との出会いや思いの大きさがあってのことだと思いました。現場のスタッフや選手、監督から何かメッセージはありましたか。

前沢　それはたくさんありました。栗山（英樹）監督は、このプロジェクトが叩かれている時に、ある番記者にそういうのはやめてくれと言ってくれましたし、バックストップ問題（※）があった時には、新庄（剛志）監督からメッセージ入りのものを頂きました。また、この球場に初めて選手たちが来た日に、ウォーミングアップしていた松本剛選手が私と三谷さんのところに来て、深々とお辞儀をしてくれたんです。そういうのがガソリンになって、もう一段、二段やらないといけないと思いますね。

（※ファウルゾーン問題のこと。公認野球規則では、本塁からバックネットのフェンスまで約18m以上が必要とされるが、エスコンフィールドは、約15mしかないことが'22年11月、完成間近に判明。その後、ルール順守の徹底とガバナンス強化、野球振興への協力を前提に、改修せず永続的使用が認められた）

鈴木　そういう時、やりがいを感じるものですか。

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