鈴木　当初、相棒の三谷仁志さん（ファイターズ　スポーツ＆エンターテイメント取締役）と一緒に企画を考えた時には通らなくて、企画書は机の引き出しの中に眠ってしまった。数年後に動き出した時には、本社日本ハムの了承が得られないという様々な壁がありました。プロジェクト全体で一番苦労されたのはどういう点ですか。

鈴木忠平（すずき・ただひら）／1977年生まれ。作家。著書に『嫌われた監督　落合博満は中日をどう変えたのか』『虚空の人　清原和博を巡る旅』などがある　©︎Kiichi Matsumoto

前沢　大きく分けてふたつあります。まず、日本ハムという上場している大企業にどうやって理解してもらうか、どうすれば応援してもらえるか、そのためには何百、何千ページという資料と膨大な時間がかかりました。それはたいへんでした。もうひとつは、我々民間企業は行政折衝というのをやってこなかったことです。北海道庁、国交省、札幌市、北広島市の人たちと折衝する過程で、勝ち過ぎず、負け過ぎてもいけない、その微妙なラインはどこだろうとずっと逡巡していました。最終的に、私なりに、時には51対49で勝っている、時には49対51で負けていると、時と場合、もしくは見方によって変わるのが一番健全なんじゃないのかと結論付けました。

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［北の大地の夢］新球場を創った鉄の意志　鈴木忠平×前沢賢