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「お母さんが薬物をやっています」通報で逮捕…1分間格闘技BreakingDownの新星・外枦保尋斗の“切実な動機”と壮絶人生「どん底から這い上がりたい」 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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posted2023/03/31 11:04

「お母さんが薬物をやっています」通報で逮捕…1分間格闘技BreakingDownの新星・外枦保尋斗の“切実な動機”と壮絶人生「どん底から這い上がりたい」<Number Web> photograph by BreakingDown

BreakingDown7では2度のダウンを奪い、KO勝ちを収めた外枦保尋斗

2度のダウンを奪って勝利

『ブレイキングダウン7』で対戦したのは有井皓太郎。東大相撲部所属で、アンチ・ブレイキングダウンという立場で売り出した。曰く「バカに夢見せて上が搾取してるのがブレイキングダウン。幻想見てる不良に現実を見せてやる」。外枦保には「母ちゃん救いたいなら東大入ったほうがいい」。ブレイキングダウンで人生の一発逆転を狙う参加者たちに「コツコツやってきた人間が一番」と正論をぶつける有井もまた、ブレイキングダウンで映える選手だった。

 試合はKOで終わる。相撲部らしく頭から突っ込む有井に対し、外枦保は全力でパンチ。2度のダウンを奪って勝利した。「最初のダウンで目が泳いでたのに」と有井のタフさに驚いたが、それでも“1分以内”で倒しきった。

「母ちゃん、勝ったよ!」

 マイクを渡されると涙声で叫んだ。これからも「一人前の男」になるため頑張りたい。そんな言葉も印象的だった。

外枦保は“不良”ではなく格闘家だった

 試合後、インタビューを申し込む。結果として倒したがパンチが大振りに見えた。やはり緊張していたのか。そう聞くと彼は答えた。

「絶対にKOしたかったんです。僕の試合まで、大会の中でKOがなかったので。それで力んじゃいましたね。このままでは次は勝てない。もっと練習しないと」

 あくまで、外枦保はまっすぐな格闘家なのだった。両肩にタトゥーもあるが、いわゆる“不良”ではなかったそうだ。最初のタトゥーは、幼少期に育ててくれた祖母のためのもの。亡くなった日にちと「天国でゆっくり休んでね」という意味の英語が入っている。

 ケンカもほとんどしたことがない。揉め事に巻き込まれたら面倒だから、街を歩く時は下を向いているという。ブレイキングダウン“名物”の乱闘とも無縁だ。

「煽られたら腹は立ちますけど。オーディションや会見で目立っても試合がダメでは仕方ないので。僕は面白い試合、人を感動させる試合がしたいです」

【次ページ】 「人間ドラマ」というブレイキングダウンの魅力

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