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[KEYMAN of THE SEMIFINAL]村上宗隆「腹を括った“元4番”」
posted2023/03/31 09:05
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph by
Yukihito Taguchi
断崖絶壁まで追い詰められていた準決勝のメキシコ戦。日本が1点を追う9回裏、ノーアウト一、二塁の場面で打席に立った5番の村上宗隆は「バントもあるかなと頭を過った」のだと言った。しかし栗山英樹監督の頭には最初からバントはなかった。じつはあのとき、指揮官が準備していたのは、もっとシビアなシナリオだった。
「最初からムネ(村上)のバントはなかったよ。バントなら牧原(大成)にと代打の用意をさせていたしね。でも、思い留まった。代打の送りバントも難しいし、牧原がバントを成功させるのと、ムネが外野フライを打って(大谷)翔平がタッチアップ、一塁の周東(佑京)に二盗させるのとどちらも同じワンアウト二、三塁を作れるでしょ。だったらムネに任せようと思ったんだ」