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「WBC決勝、じつは“巨人組の逆襲”だった」あの岡本和真が吠え、大勢は最多登板、戸郷翔征は第二先発…Bクラス・原巨人の再建はここから始まる

posted2023/03/25 17:00

 
「WBC決勝、じつは“巨人組の逆襲”だった」あの岡本和真が吠え、大勢は最多登板、戸郷翔征は第二先発…Bクラス・原巨人の再建はここから始まる<Number Web> photograph by JIJI PRESS

アメリカとの決勝戦、4回にチーム3点目となる2号ソロホームラン。大声を出し、笑顔を見せた岡本和真

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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「君、ジャイアンツファンだったっけ? 今夜のドームのチケット、予定が入っちゃって、2枚あるから誰か誘って行けば?」

 これは1999(平成11)年6月1日放送、フジテレビの人気ドラマ『古畑任三郎』で田村正和と対峙する犯人役を演じた福山雅治の台詞である。巨人戦チケットが日常生活を演出する小道具としてナチュラルに登場する世紀末ニッポンの風景。ちなみにドラマの放送日、6月1日の中日戦で実際に巨人の四番を打ったのは清原和博で、先発投手は桑田真澄のKKコンビ揃い踏み。その様子はもちろん地上波ゴールデンタイムで生中継され、99年巨人戦の年間平均視聴率は20%を突破した。

「全7試合40%超え」で思い出す“伝説の48.8%”

 さて、日本代表の14年ぶりの世界一で幕を閉じたWBC侍ジャパンの大人気ぶりと、野球が世の中の中心に君臨する感覚に、“あの頃の巨人軍”を思い出したオールド野球ファンも多いのではないだろうか。準々決勝の日本対イタリア戦はテレビ視聴率48.0%(ビデオリサーチ調べ)。今大会の日本戦全7試合すべて40%超えという高視聴率と夜のおかわり再放送が話題になったが、94年の巨人と中日の優勝を懸けた“10.8決戦”はプロ野球史上最高の視聴率48.8%を記録。さらに同年の西武との日本シリーズも平日開催にもかかわらず、連日40%超えという凄まじい視聴率を叩き出した。動画配信がある現代とは単純比較はできないものの、まさに20数年前まで、巨人の試合は今の代表試合レベルのキラーコンテンツであり「国民的行事」だったのである。

 90年代、松井秀喜はホームランを1本放つごとに日本テレビからホームランカードが発行され、98年にプロデビューした高橋由伸は甘いマスクでトップアイドル級の人気を誇り、一時は自動車メーカー、お菓子、ファッションブランドとCM業界を席巻した。まるで現代の大谷翔平のようにである。背番号55と24は、子供からお年寄りまで幅広く顔を知られた、巨人戦地上波中継最後のスーパースターでもあった。

あの岡本和真が“大声を出した”

 だが、2000年代中盤以降の巨人戦は地上波テレビではなく、BSやCS放送、近年はDAZN等の動画配信での視聴が定着して、テレビをつけたらいつでも見られる「誰もが当たり前に顔と名前を知っている巨人選手」という時代も終わりを告げた。現在の巨人で世間的に最も有名なのは、80年代にナイター中継で毎晩主役を張り、今も隙あらば獅子舞に噛まれてみせる“元祖たっちゃん”こと原辰徳監督だろう。

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