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WBC甲斐拓也“まるでマンガ”の逆転人生「ドラフト最下位の序列に苦悩」…“170cmのキャッチャー”泥まみれの姿が忘れられない

posted2023/03/21 18:04

 
WBC甲斐拓也“まるでマンガ”の逆転人生「ドラフト最下位の序列に苦悩」…“170cmのキャッチャー”泥まみれの姿が忘れられない<Number Web> photograph by CTK Photo/AFLO

非エリート・甲斐拓也の物語は “マンガのような侍ジャパン”に欠かせないピースである

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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 劇的なサヨナラ勝ちの歓喜の輪にいた“ひときわ小柄な”背番号10。甲斐拓也30歳の“マンガのような”プロ野球人生をひもときたい。

WBC直前に語っていたこと

 チームの精神的支柱として名前が挙がるのは、世間一般ではダルビッシュ有、大谷翔平といったメジャーリーガーたちだ。それは間違いないところだが、第2回WBCの優勝メンバーで「日本人初のメジャーリーガー捕手」でもあった城島健司氏(現ソフトバンク・会長付特別アドバイザー)は2月の段階でこのようなことを話していた。

「WBCは国民的なイベントになる。その中でタク(甲斐)の強みはオリンピックに出たということ。WBCとは違う大会ではあるけど、国を代表して日の丸を背負って戦うのは同じ。重圧も不安も一発勝負の怖さも身をもって経験している。今回はタクの存在が大きく感じられるんじゃないですかね。特にキャッチャーだし。日本の安心感につながるくらいの経験をしているキャッチャー。それは日本代表チームの大きな武器だと僕は思いますよ」

 たしかに、甲斐自身の言動も変わってきた。WBC合宿の直前、その決意をこのように語っていた。

「侍ジャパンに選ばれた最初の頃はそのユニフォームを着てやるだけで精一杯で、周りについていくのがやっとでした。だけど、稲葉(篤紀)監督の頃から何度も代表に呼んでいただき大きな大会をはじめ、日米野球や強化試合に招集してもらいました。栗山(英樹)監督になっても、昨年オフの強化試合から呼んでもらった。その意味を自分なりに理解しているつもりです。ジャパンのユニフォームを着るたびに責任感がより強くなっていくのが分かりますし、今は『自分が引っ張る』。そんな思いに変わってるのは確かだなと感じています」

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 立場が人を作る。まさしくそれだ。

 長くホークスを取材している筆者にすれば、侍ジャパンどころかソフトバンクの背番号「130」のユニフォームを着て当時ファーム本拠地だった雁の巣球場で泥だらけになっていた姿も見ていただけに、余計に感慨深いものがある。

【次ページ】 非エリートが日本代表になるまで

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