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侍ジャパンPRESSBACK NUMBER
「ニッポンの野球にビックリ」あのWBC米記者が帰国前に語った“日本野球への本音”「阪神ファンはスゴい」「なぜゲンダは“トヨタ出身”なの?」
text by
田中仰Aogu Tanaka
photograph byGetty Images
posted2023/03/18 11:03
「日本のお菓子」の情報発信で話題を集めたマイケル・クレア記者(35歳)にインタビュー(後編)
ヌートバー、エベルト…スター誕生
まずスター登場という点では、日本代表でいえばラーズ・ヌートバー選手ですね。彼はこの大会で間違いなく「覚醒」した。アメリカの野球ファンの間では、名前こそ有名でしたが、あくまでスター候補という立場。それがスーパーキャッチ、バッティングの精度、走塁意識……と眼を見張るプレーを見せていましたし、ふるまいも含めてスターのそれでした。彼が日本のファンに受け入れられている現象を、アメリカのメディアも取り上げています。
ほかに、ドミニカ共和国戦で突如現れたニカラグアの新星、デュケ・エベルト投手(21歳)にも言えますね。9回に登板してメジャーのトップ選手たちから3三振を奪った。その後すぐにデトロイト・タイガースとマイナー契約が決まりました。
大会前にプラハへ…チェコ代表のウラ話
――スターが誕生する瞬間も目撃できるわけですね。
クレア そのとおりです。ほかに「野球文化の交流」もWBCで得られるものだと思います。たとえばチェコ代表について、私たちは予選も取材していて、彼らがスペインを倒して本大会への出場権を掴む瞬間も生で見たんです。そこから彼らのプレーに惹かれて、MLBの企画で彼らを取り上げることにした。本大会前にプラハに行って、5日間行動を共にして。医師で監督のパベル・ハジム氏、消防士でエースのマルティン・シュナイダー投手の職場を取材しました。世界に野球を愛する人たちがいることを感じられましたし、それこそ大谷選手から三振を奪った場面なんて……間違いなく東京プールのベストシーンでした。ちなみに彼らのドキュメンタリーはMLBのYouTubeから見られるのでぜひ!
――たしかにチェコの野球について、このWBCまでまったく知りませんでした。
クレア チェコについてはこんな驚きもありました。アメリカでは「13」という数字は不吉と考えられているのですが、チェコでは逆に幸福を呼ぶ数字として知られている。じつはチェコがWBC初勝利を収めたあの中国戦、1回と2回のチェコ側の投球数が「13」だったんです。ハジム監督いわく「そこで勝てるかもしれないと思った」と。面白いですよね。
「社会人野球」と「阪神ファン」
――チェコ代表にそんなウラ話まであったとは……。知りませんでした。