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「なぜ近藤健介はドラフト4位指名だった？」他球団スカウトがいま明かす“後悔”「やっぱり…171cmでしょ？」思い出す中3近藤が荒川に3本放り込んだ日
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2023/03/15 17:03
WBC初戦の中国戦に勝ち、喜ぶ大谷翔平（28歳）と近藤健介（29歳）。2人は日本ハム時代の元同僚でもある
「いや、実はウチも、ほとんどノーマークだったと思いますよ。リストにも載せてなかったんじゃないかな」
10年以上前の記憶を巻き戻しながら話してくださったのは、当時、阪神タイガースのスカウトとして、横浜高・近藤選手のプレーも見守っていた菊地敏幸氏である。
「3年最後の夏の予選は、足首のケガ（じん帯損傷）であんまり冴えなかったけど、甲子園の後で、AAAのアジア大会だったかな。国際大会があったでしょ。その練習を見に行った時に、近藤のミート力は、確かに凄かった。内も外も、右に左に、全部ジャストミートでね……。あの年は、高橋周平（当時・東海大甲府→現・中日）がお目当てだったから、そちらばかり見るんだけど、確か同じ組でバッティング練習やってたんだよな。飛ばすのは高橋周平なんだけど、確かな技術を持っていたのは、間違いなく近藤。あんなにコンスタントに、広角にライナー飛ばせる高校生もいないな……と思ったね」
ならば、なぜ上位指名ではなかったのか？
天才的なバッティング技術があって、捕手ができて、肩も強くて……それほどの素材が、なぜ4位まで残っていたのか？
横浜高当時の捕手・近藤。その敏捷な反応と弾力に富んだ身のこなしには、目を奪われていた。
左右、後方に飛んだファールを顔が追っていく一瞬のスピード。ショートバウンドの投球をミットですくい上げるように捕球するか、腰を落として止めるのか……その一瞬の反応。「上手いなぁ」、思わず口に出して感心する場面が何度もあった。
「やっぱり、サイズですよ。最近でこそ、甲斐拓也（ソフトバンク）とか森友哉（オリックス）とか、阪神の梅野（隆太郎）もそうだし、広島の會澤（翼）だってそんなに大きくないでしょ。逆に大型捕手のほうがなかなか育たないって言われる時代だけど、10年前はまだまだ“大型”が有り難がられてた時代ですよ。やっぱり、171cmっていうのが、プロ側が積極的になれなかった理由じゃないかな。いい選手なのは間違いないけど、進学して大学で、もっとキャリアを積んでって。スカウトの間では、そういう空気が支配的だったかな」
「あと5cmあれば…スカウトとしては一番悔しい」
捕手として考えると、3年夏に故障した右足首や腰痛を心配する声を聞いたこともある。
