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チェコ代表と大谷翔平…試合中に何を話した? 愛され軍団は“帰国時のお土産”もスゴかった「すぐに職場復帰」「お菓子の試食なのに“こんにゃく”が…」
text by
水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byJIJI PRESS
posted2023/03/15 17:00
日本の野球ファンの心をつかんだWBCチェコ代表チームが、幸せな5日間を終え日本を去った
「あれっ、1次ラウンドまでしか仕事の休みをもらっていない、どうしよう」
そんなふうに慌てふためき、落ち着かない一夜を過ごした選手もいたという。しかしそうした悩みすら“幸せな時間”だった。
「本当に素晴らしい経験ができた。特に日本との試合は、めちゃくちゃ興奮したよ。4万人を超える大観衆の前でプレーするなんて人生初だった。緊張なんかなかった。僕らは今までずっと、こんな瞬間が来ることを心待ちにしていたんだからね」
地理教師「生徒たちも『日本に行きたい』」
高校の地理教師で外野手のアルノシュト・ドゥボビー(30歳)はそう言った。勤務先の学校から休暇をもらい、その間は臨時教員にクラスを任せ、大会に参戦した。
「生徒たちもWBC初出場を喜んでくれて、日本に行きたい、行きたいと言っていた。日本戦の後にチェコからたくさんのメッセージが届いて、こんなにテレビで試合を観ていた人がいたのかと驚いたよ」
母国からだけではない。チェコ野球連盟の公式SNSには日本の野球ファンからも多くのメッセージが寄せられ、選手たちはそれに目を通していた。
「日本はパーフェクトだった。街を歩いていてもみんな親切で、一緒に写真を撮りたいと僕らに声を掛けてくれた」
「大谷は信じられなかった」
選手たちはそれぞれ、このWBCで経験したこと、感じたことを深く胸に刻んでいる。4試合で1本塁打を含む3安打3打点と活躍したマチェイ・メンシク外野手(30歳)は、大谷翔平に度肝を抜かれた瞬間を楽しそうに話してくれた。
「打撃練習を見たときだよ。客席よりももっと高く遠くに打球を飛ばしているのを間近で見て、何という強靭さなんだと呆気にとられた。僕らみんな、信じられなかった。あれは単に、筋肉がついているからというだけじゃない。それ以上のものを持っていないと、あれはできない」
想像はしていたが、実際に目の前にするとやはり違った。世界のトップ選手とは、こんなにもすごいのかと肌で感じた。