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[番記者密着記]WBCへのカウントダウン
posted2023/03/09 09:04
text by
柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph by
Yukihito Taguchi
砂漠気候のアリゾナ特有の冷たい風が吹きつけた。2月12日夜。フェニックス・スカイハーバー空港は驚くほどに閑散としていた。ちょうどNFLスーパーボウルが、空港から車で約20分のグレンデールで開催されており、筆者が空港に到着した時刻は試合終了直後だった。これは祭りの後の静けさか、それとも、2023年シーズンに吹き荒れる、嵐の前の静けさか……。
2月13日 ジャスティン・ビーバー?
WBCに出場するバッテリー組集合日。昨年に続き、エンゼルスのキャンプ地テンピの練習場はメイン球場に隣接するマイナー施設が拠点だ。午前10時過ぎに大谷翔平は水原一平通訳とともに、白いポルシェのSUVで到着。グレーのスウェット上下とニット帽姿に、どこからか「ジャスティン・ビーバーみたい」という声も聞こえた。グラウンドでキャッチボールを行い、「ショートアーム」と呼ばれる小さなテイクバックで投げていた。続いて短距離ダッシュを数本。最後は屋外フリー打撃で26スイング中、柵越え12本。やや右足を開き、より懐の深い構えとなった印象だ。
2月14日 「おつかれっす」
チームのバッテリー組集合日。クラブハウスでの取材が可能になり、大谷のロッカーは昨年同様に入り口から入ってすぐ右横だと判明。今季から契約するニューバランス社製のグラブも大事にロッカーの上に置かれていた。午前10時過ぎから身体検査。ただ、大谷はなかなか帰らなかった。午後3時のクラブハウス前。「身体検査で何か引っかかったんじゃないか」。記者同士で話をしていると、突然、大谷が背後から登場。「おつかれっす」と爽やかな笑顔を振りまき、帰路に就いた。