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「1分50秒で13億円稼いだ」パンサラッサが話題…なぜサウジとドバイに日本馬が殺到? 高額賞金だけではない“海外遠征ブーム”の理由
posted2023/03/04 17:01
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Sipa USA/JIJI PRESS
世界最高賞金レースのサウジカップ(2月25日、沙・キングアブドゥルアジーズ・ダート1800m、GI)を日本のパンサラッサ(牡6歳、父ロードカナロア、栗東・矢作芳人厩舎)が制し、1着賞金1000万ドル(13億1865万円)を稼いだことが話題になっている(1ドル=131.865円で計算、以下同)。
サウジアラビアでは賞金の10パーセントがジョッキーに配分される(日本は5パーセント)ため、騎乗した吉田豊は1分50秒80で1億3000万円以上を稼いだことになる。まさにアラビアンドリームだ。
サウジカップ3着でも賞金は「フェブラリーの倍以上」
総賞金2000万ドル(26億3730万円)のサウジカップは、次に記すように、2着以下の賞金も恐ろしく高い。
1着:1000万ドル(13億1865万円)
2着:350万ドル(4億6152万7500円)
3着:200万ドル(2億6373万円)
4着:150万ドル(1億9779万7500円)
5着:100万ドル(1億3186万5000円)
6着:60万ドル(7911万9000円)
7着:50万ドル(6593万2500円)
8着:40万ドル(5274万6000円)
9着:30万ドル(3955万9500円)
10着:20万ドル(2637万3000円)
ほぼ同時期に行われるフェブラリーステークスの1着賞金は1億2000万円。日本最高額のジャパンカップと有馬記念のそれは5億円、次に高い日本ダービーは3億円、春秋の天皇賞や宝塚記念は2億2000万円である。
つまり、サウジカップの5着でもらえる賞金のほうが、フェブラリーステークスの1着賞金より高額なのだ。
今年は6頭もの日本馬がサウジカップに出走し、次のような好成績をおさめた。
1着:パンサラッサ
3着:カフェファラオ
4着:ジオグリフ
5着:クラウンプライド
7着:ジュンライトボルト
11着:ヴァンドギャルド
出走馬は全部で13頭だったから、半分近くが日本馬だった。日本人騎手は吉田だけだったが、ほかの日本馬5頭の鞍上はみな日本で乗っている騎手(短期免許を含む)なので、日本のレースに近い流れになりやすかった。
コースも日本馬に味方した。キングアブドゥルアジーズ競馬場のダートコースにはウッドチップが混ざっていてクッションがよく、キックバックが少ない。日本の芝を得意とする、フットワークの軽い馬にもフィットする馬場なのだ。
このレースと同日に行われた1351ターフスプリント(芝1351m、GIII)をバスラットレオンが、レッドシーターフハンデキャップ(芝3000m、GIII)をシルヴァーソニックが勝つなど、芝でも日本馬が好走している。
今後も、日本馬の参戦が加速するだろう。