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「1分50秒で13億円稼いだ」パンサラッサが話題…なぜサウジとドバイに日本馬が殺到? 高額賞金だけではない“海外遠征ブーム”の理由 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph bySipa USA/JIJI PRESS

posted2023/03/04 17:01

「1分50秒で13億円稼いだ」パンサラッサが話題…なぜサウジとドバイに日本馬が殺到? 高額賞金だけではない“海外遠征ブーム”の理由<Number Web> photograph by Sipa USA/JIJI PRESS

吉田豊を背にサウジカップを逃げ切ったパンサラッサ。1レースで1000万ドル(13億円超)の賞金を稼ぎ、日本馬の歴代獲得賞金ランキング3位に浮上した

 また、リスグラシューも、2018年のエリザベス女王杯を勝ったあと、香港に2度、オーストラリアに1度遠征し、2、3、1着と好結果を出しながら、宝塚記念と有馬記念を圧勝した。管理した矢作芳人調教師も「リスは旅をして強くなった」と認めている。

 かつて海外遠征に伴った「リスク」というマイナスが、ホースマンの努力により、やり方によってはプラスにできる「負荷」と言うべきものに変わったと言えよう。

 異なる環境に刺激を受けさせ、初めて走る形態のコースで強い相手と戦う「負荷」をかけて馬を強くしていくメソッドを、日本のトップホースマンはマスターしたのだ。

「歴代賞金王」にリーチをかけたパンサラッサ

 だからといって、リスクがゼロになったわけではもちろんない。1997年の第2回ドバイワールドカップで、レース中に骨折して予後不良になったホクトベガの悲劇を忘れられないホースマンも多いだろう。

 海外遠征がマイナスになってしまうケースも、当然、出てくるものと思われる。

 それでも、日本の人馬は、これからも海を渡りつづける。

 例えば、アメリカ生まれの繁殖牝馬をUAEのオーナーが買い、イギリス産の種牡馬を配合して日本人調教師に預けて日本でデビューさせ、フランス人騎手を乗せてサウジカップに出走させ、引退後はアイルランドで種牡馬にする――といったように、競馬はもともとグローバルな性質のスポーツだ。

 そうした競馬ならではのダイナミズムをサウジやドバイで一度でも味わうと、やめられなくなるのではないか。

 パンサラッサは、サウジカップを勝ったことで獲得賞金が18億4466万3500円となり、テイエムオペラオーを抜いて歴代3位となった。次走がドバイワールドカップなら4着以上、ドバイターフなら2着以上で、1位のアーモンドアイと2位のキタサンブラックを抜いて、歴代賞金王となる。

 これは、ひと昔前まで考えられなかった「見どころ」である。

 矢作調教師をはじめとする関係者にとってのみならず、見守る私たちにとっても、大きな楽しみが増えた。

 なるほど、日本のレースではなく、こちらを選ぶのも納得である。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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