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《武藤敬司、完全燃焼》蝶野正洋との“最後の戦い”で鮮やかに蘇った、1991年G1クライマックス、闘魂三銃士の爆発の記憶

posted2023/03/01 06:00

 
《武藤敬司、完全燃焼》蝶野正洋との“最後の戦い”で鮮やかに蘇った、1991年G1クライマックス、闘魂三銃士の爆発の記憶<Number Web> photograph by KYODO

1991年8月11日に両国国技館で開催された「G1クライマックス」優勝戦で、当時ダークホースだった蝶野正洋が武藤敬司をSTFに決める

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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 プロレス界のスーパースター・武藤敬司が2月21日、東京ドームで引退した。翌日のスポーツ紙も大きく伝えた。

『さらば天才武藤』(スポーツニッポン)

『武藤ありがとう』(日刊スポーツ)

『完全燃焼 武藤「最高に幸せでした」』(デイリースポーツ)

『武藤敬司 レスラー人生に幕』(サンケイスポーツ)

『完全燃焼 38年4か月 武藤「最高に幸せ」』(スポーツ報知)

 そしてプロレスといえば東スポ。引退翌日はドーム大会特集7ページ。一面は独占手記『武藤ラストサムライ 生まれるのが40年早かった』。

みんなを笑顔にする男

 武藤敬司の人生のパートナーである久恵さんの手記は日刊スポーツ。1992年に結婚したときのエピソードが書かれていた。武藤は「久恵さんと結婚したいです!」と両親に挨拶したあと、「久恵さんは新弟子よりも良く気が利くので助かります」と言ったらしい。

《母からは「うちの娘は新弟子ではありませんから、大切にしてあげて下さい」と、父からは「君はキレイな目をしてるね。信じられる」という言葉を掛けられました。すると、そこであなたは「はい! 俺は信じられる人間です!」と自画自賛。》(日刊スポーツ)

 そのあとみんなで爆笑したという。「うちの娘は新弟子ではありません」というお母さんの返しも素晴らしいが、最後にみんなを笑顔にしてしまう武藤敬司の魅力が詰まった話だ。

 さてここ数カ月、実は「武藤敬司の引退試合の相手は一体誰なのか?」というお題がプロレスファンを夢中にさせていた。

 私は雑誌『KAMINOGE』で斎藤文彦さん(プロレスライター、コラムニスト)、Numberコラムでもおなじみ堀江ガンツさん(プロレス・格闘技ライター)と座談会を毎月おこなっているのだが、ここでも昨年末から「武藤の引退相手」の予想で盛り上がっていたのだ。

【次ページ】 ファン垂涎のサプライズ

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