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“肺の半分”を摘出したのに…42歳で肺がんを経験した元女子レスラー・ダイナマイト関西が“再びリングに戻るまで”「先生からは反対も…」
posted2023/03/14 11:02
text by
伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph by
Kiichi Matsumoto
◆◆◆
――病気のことばかり聞いて、申し訳ないんですが……。
ダイナマイト関西さん(以下、関西) ほんまやな(笑)。キューティー(鈴木)、尾崎(魔弓)はあんなちっちゃい体して元気やのに、こんなおっきい体した自分が病気ばっかりしてなぁ。
――がんが発覚したのは、OZアカデミーのレギュラー選手だった2011年ごろだそうですが、最初はどんな症状が見られたんですか。
関西 42歳のときか。1週間、2週間、とにかく咳が止まらないのよ。横になっても、咳で眠れない。最初は風邪かなと思って、風邪薬を飲んで様子を見てたんやけど、あばらの骨にヒビが入るほど咳がひどくなっていったんで、近所の病院に行った。いい先生でね、レントゲンを撮ってくれたその日の夜に、電話をくれはった。「お帰りになったあとにどうしても気になって、もう一度レントゲンを見たんです。僕の知り合いで大学教授の先生が来てたので、鈴木さん(関西の本名)のレントゲンを見せたところ、『影が気になる』と。僕、紹介状を書くので、明日の朝一で取りに来て、即大きい病院で診てもらってください」って言われた。
急遽入院→手術で「死を考える時間がなかった」
――影があったと。
関西 ビビったよー!「がん? マジ?」って。順天堂大学病院で診てもらったら、先生は「これは開けてみないとわかりませんね」と。で、聞いたの、「先生、傷は大きく残るんかな? 自分はちょっと肌が出る仕事をしてるから……」と。「何をしてるの?」「プロレスです」って言ったら、「プロレスーッ? 無理、無理、無理! もうしちゃダメですよ!」って。「いや、先生。自分は辞める気はないから、プロレスができるような手術をしてください」って言うたら、先生は「いやー、これは開けてみないと……」って渋い顔。
――正直、死が頭をよぎりましたか。
関西 一瞬は、ね。でも、先生が「今手術をすれば、必ず死なないから」という言い方をしたわけ。医者って、「絶対に治ります」というニュアンスの言葉は使ったらあかんやん。でも、「今なら間に合う。だから、すぐに手術しよう」と言いはったから、あー、助かる可能性のほうが高いんやなと思った。そっから空いてる病室、空いてる手術日をバタバタ~と入れたんで、死を考える時間がなかったかな。傷は5cmぐらい残るって言われたんやけど、手術が終わって、麻酔から覚めて見たら、背中がガッバ~ッてすっごい切られてんのね。