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クラッシュ・ギャルズの映像に「こんなの、見習うな!」若き日の女子レスラー・ダイナマイト関西が“レジェンド”ジャッキー佐藤に救われた話
posted2023/03/14 11:00
text by
伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph by
L)東京スポーツ新聞社、R)Kiichi Matsumoto
史上唯一、他団体から全女のトップに立ったレスラー・ダイナマイト関西が、16歳で飛び込んだ女子プロレスの世界を振り返る。《全3回のインタビュー1回目/#2、#3につづく》
◆◆◆
ダイナマイト関西さん(以下、関西) ビューティ・ペアの認識っていうのが、自分はあんまりなくてね。社会現象といわれたころ、ビューティ派とピンク・レディー派に分かれてたやん? 自分はピンク・レディー派で。ピンク・レディーの上下のスウェットが欲しかった派やったから(笑)。でも、ジャパンに受かって、寮に入って、初めてジャッキーさんを見たときはブラウン管の中の人という感じで、「そこにいる」という現実味がなかったね。すーごいオーラやった。
寮での問題行動…ジャッキー佐藤に救われた日
――ジャッキーさんとは、どんな距離感で接していたんですか。
関西 なんでか知らんけど、自分とハーレー(斉藤=享年48)、イリア米本(故人)はすごく目をかけてもらえて。特に自分は、道場とは別で外のトレーニングジムに通うのも、プライベートで昼ごはんを食べに出るのも、連れていってもらった。プロレスの話もしてもらって、かなりかわいがってもらったよ。寮で大きい問題を起こしたことがあってね、自分が。デビュー前の練習生をボッコボコに、それこそ半殺しにしたのよ。その日にその子が夜逃げして、親元に帰って、翌朝に親が怒鳴り込んできたみたい。朝、寮にジャッキーさんから連絡があって、「鈴木(関西の本名)、今すぐ社長室に来い!」と。行ったらさ、大人たちがブワーッてそろってるわけ。
――鈴木さんを締めあげるシチュエーションが整っていたわけですね。
関西 そうや。そりゃー、緊張したよ! スポーツマンシップに反することをしてしまった自分が悪いから、「あー、クビやなぁ」と。2人が同じ場所にいたらまたケンカするから、離さなあかんとなったとき、ジャッキーさんは「うちは鈴木を取る」って。で、相手に向かって、「ご両親、さっさと〇〇子を連れて帰ってくれていいよ」って。あとあと話を聞いたら、その子はスポーツで実績を残していて、ジャッキーさんと知りあいだった縁で、1期生に引っ張った。なのに、そっちを切って、スポーツ経験がほとんどない、ほぼド素人の自分を選んでくれはった。そのときに腹を決めたね、「絶対トップに立とう!」って。トップに立って恩返しをしないと、ジャッキーさんが残してくれた意味がなくなると思ったから。いつも言ってくれてた言葉があったの。「おまえさんは必ずこの世界のトップに立てる人間だから、安心しろ」と。