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「人生終わるのかなぁ」手足は真っ青、全盛期に告げられた膠原病…ダイナマイト関西が直面した「“強いパブリックイメージ”との葛藤」

posted2023/03/14 11:01

 
「人生終わるのかなぁ」手足は真っ青、全盛期に告げられた膠原病…ダイナマイト関西が直面した「“強いパブリックイメージ”との葛藤」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

圧倒的な強さで人気を博す裏で、膠原病との闘いを続けてきたダイナマイト関西さん。当時の苦労を聞いた

text by

伊藤雅奈子

伊藤雅奈子Kanako Ito

PROFILE

photograph by

Kiichi Matsumoto

強くて、強くて、強すぎた。女子プロレスラー・ダイナマイト関西のストロングスタイルは、目の肥えた男性ファンをも堪能させた。しかし心身ともに脂が乗っていた20代後半、裏では病に悩まされていた。診断は膠原病。「人生の終わり」もよぎるなか、関西はいかに病と向き合ったのか?《全3回のインタビュー2回目/#3につづく》 

◆◆◆

ダイナマイト関西さん(以下、関西) 膠原病になったのは、20代後半になって。まず、手足が動かなくなった。リウマチの一種のような症状が表れて、季節の変わり目には手足が真っ青になっちゃうんだよね。末端に血が通わないというのかな。血が通わないから、だんだん顔がムーンフェイスになる。

――浮腫になる、と。

関西 そう。むくみ。目も一重になって、顔がカチカチにこわばって、体も硬くなって、動かへん状態になる。トレーニングも満足にできなくなって、病院に行ったら「膠原病です」と。言われて怖くなって、すぐに入院したよ。2週間ぐらいかけて、全身を検査するために。

――宣告されたときは、どんな気持ちだったんでしょう。

関西 こんなに体が大きくて、元気がある、やる気もあるのに、人間って病気になったらほんまに終わりなんやなぁって思った。自由がきかなくなっていく体を目の当たりにしたとき、金はいらんから、健康な体だけをちょうだいって思ったよ。たとえばプロレスって、肩が外れたら入れたらいい。靱帯が切れたら、つなぐ手術を受けたらいい。頭をパッカ~ンって割られても、縫えば治るやんか。けど、膠原病は終わりのない闘い。暗くなるよね。この先は悪化していくのか、現状を維持しながら普通の生活を保てるのか、まったくわからへん。そのときは、めっちゃ落ちこんだ。健康じゃないまま、自分の人生が終わるのかなぁって。

「ステロイドは絶対にやらないで」

――2週間ほどの検査入院のあとは、どうなっていったんですか。

関西 薬を塗ったり、飲んだり。定期的に病院に行ってたら、ある時期を境に症状が緩くなっていったのよ。数値も落ちてね。順天堂大学病院やってんけど、先生からは、「ステロイドを使った強い薬もあって、それなら症状は一気に良くなる」というようなことを言われたけど、プロレスラーやからさ、副作用が出る可能性が高いステロイドは怖いやん。

――筋肉増強のためにステロイドに頼るアスリートもいますが、心臓に負担がかかるリスキーな側面もありますから。

関西 そうやろ。だから、「ステロイドは絶対にやらないでください」と。やらなくても数値が落ちついてきたから、「このままなら薬をいったんやめたい」って申し出たの。そしたら先生も、「鈴木さん(関西の本名)がそう言うなら、1回やめて様子を見ましょう」と。そこからプロレスをやってても、だんだん動けるようになっていったから、「先生、薬を飲まないで、増やさないで、このままで行きたい」と。医者の立場としては勧められないから、「本来はお勧めしないけど、そこまで強く言うなら、そうしてみましょうか」と認めてくれて、薬をやめた。

【次ページ】 病気のことは「尾崎、キューティー以外には言わなかった」

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